歴史と伝統が現代に息づく、スズキジムニーはさらにオフローダーとしてのポテンシャルを高めた。

ジムニー外観 新車レビュー

スズキ ジムニー(suzuki jimny)は1970年4月に軽自動車初の本格4輪駆動オフロード車として発表した。

発表されると、維持費が安い軽自動車でありながら、大型4輪駆動車以上の機動力を持つ、実用性で「それまでにはない軽自動車」として、市場に大きく評価された。

この時代の、日本市場で普及していた4輪駆動車はトヨタ・ランドクルーザー、ニッサン・パトロール、三菱・ジープといった、ジムニーに比べて格段に大型の3車種のみであった為、当時では革新的だった。
この様に古い歴史を歩みながら、2018年7月5日に4代目現行型ジムニーが発表・発売が開始された。

現行型ジムニーは、3グレード(XC・XL・XG)用意されてる。それぞれ、エンジン形式やトランスミッションの選択(4AT・5MT)が可能であるが、最上級グレードの「XC」はボディカラーに2トーンカラーが選択できるので、都会的なジムニーも楽しめる。

ジムニーツートンカラー
左:黄×黒ツートン 右:青×黒ツートン

価格は、148万5,000円~187万5,500円

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原点を忘れない、歴代インテリアの集大成

現行型ジムニーは先代(3代目)モデルに比べて、先々代(2代目)モデルに近い、スクエア形状のボディを持ち、初代や2代目で採用されている丸形ヘッドライトや独立配置された、ターンランプ。3代目に採用されている、5スロットグリルと、歴代モデルのデザインが取り入れられている。

SUZUKI グリル
SUZUKIグリル

また、純正アクセサリーにダークグレーメタリック塗装のフロントグリルは、2代目・第2期(ジムニー1300)のデザインがベースとなっており通常の「S」マークではなく、「SUZUKI」ロゴとなり、昔のジムニーが好き!という方でも、現行型でも自分オリジナルのエクステリアを再現できる。

普段使いもオフロードでもシンプルに突き詰めたインテリア

車内は、水平基調でデザインされ、立体感のあるインストルメントパネルとアームレストは、ジムニーの力強さを表現する。また、オフロード走行時などで車両姿勢を把握しやすくする為の工夫もこなされている。

インストルメントパネル
ジムニーのインストルメントパネル

助手席側にも、乗降性を向上させる為ダッシュボード部に乗降グリップを装備し、ドアグリップにも握りやすい大型のドアグリップを採用している。

ドアグリップ
ドアグリップ

シートポジション調整は、10mmピッチで前後240mmのシートスライドが可能であり、様々な体格の人が最適なポジションで運転できる。
シートの形状にも、幅広のシートフレームにクッション性能を向上させ、オフロードでの優れた乗り心地を確保する。

ジムニーシート
左:XC・XLのシート 右:XGシート

アウトドアに最適なラゲッジスペース

リヤシートを倒せば、大容量の荷室スペースが広がり(352L)、開口部も大きく荷物の積み下ろしもスムーズ。更に、フロアが完全なフラットになりスクエアな室内空間と相まって無駄なくスペースを活用できます。また、荷室左側にアクセサリーソケットを装備し、電源供給があるのもうれしい。

ジムニーラゲージルーム・アクセサリーソケット
左:ラゲージルーム 右:アクセサリーソケット

本格4WDにも先進安全機能を充実させ安心を

現行型ジムニーにも、スズキのセーフティサポートを装備させ、危険な場面でも運転者に未然に事故を防止させる機能を充実させて、普段使いでも安心できる。

前方ガラスの上部に単眼カメラとレーザーレーダーの2つを組み合わせ、前方にいる車両や歩行者をいち早く検知し、ブザー音やメーター内の表示によって運転者に警告する。ブレーキペダルを踏むと、クルマがブレーキの踏力をアシストし、衝突の可能性が高まると自動で強いブレーキをかけて衝突の回避、万が一衝突してしまった場合でも被害軽減に大きく貢献する。

スズキセーフティサポート
ジムニーの安全装備

オフロード走行を楽しむための進化したメカニズム

初代誕生から、オフロード走行を楽しむためにスズキの進化は止まらない。様々な環境にも耐えるためのジムニー伝統のラダーフレームを更に頑強な構造にして本格4輪駆動であることを証明している。主に、ラダーフレームには、Xメンバーを採用するとともに前後にクロスメンバーを追加しねじり剛性を約1.5倍に高めた。

ラダーフレーム
ラダーフレーム

ジムニーは、初代から一貫して前後輪をシンプルな構造で直結させる「パートタイム4WD」を採用する。この機能により、前輪か後輪のどちらかが空転しても駆動力を確保できるからである。
路面状況などに応じて、機械式副変速機で2WDと4WDを任意に切り替えることができ、更に「4L」モードを搭載。4Lモードは、急な登坂路や悪路の走破性を高めるために、通常の約2倍の駆動力を発揮する。

パートタイム4WD
パートタイム4WDの機構

ジムニーの伝統である、3リンクリジットアクスル式サスペンションを現行型でも採用し、一般的な乗用車の独立懸架式サスペンションに比べて、凹凸路での優れた接地性と大きな対地クリアランスを確保する。更に構造をより屈強にし過酷な使用環境にも耐える信頼性を実現させている。

ジムニーサスペンション
左:リジットアクスル式サスペンション 右:独立懸架式サスペンション

尚、現行型ジムニーに採用されるエンジンはターボエンジンのみが備わり、アクセルペダルの踏み込みに対してリニアなレスポンスを実現する。低速時に高い駆動力を発揮するトランスミッションの恩恵で、滑りやすい悪路や岩場でも安定した駆動力を発揮する。
現行型ジムニーの燃費は、WLTCモード13.2km/L(4AT車)~16.2km/L(5MT車)

ジムニーエンジン
ジムニーに搭載されるR06A型エンジン

ジムニーは歴史が生んだ進化し続ける本格オフロード車

ジムニーの歴史は2020年で50年目になるが、細かい改良は多いものの、モデルチェンジはわずか4回とモデルライフが長いことに特徴がある。ひとつのモデル改良を継続的に行い、熟成をさせていくスズキのスパルタンな部分が見えてくる。そこに、しっかり”ファン”がついてきて、ジムニーの愛好家は「ジムニスト」と呼ばれ、日本のみならず全世界にジムニストがいると言われている。

現行型では、現代の先進技術をジムニーにも組み合わせ、ただただオフロード性能を発揮しているわけではなく、しっかりと現代にあったチューニングが施されているのである。今後も、ジムニーは改良されていくことが予想できるが、高いオフロード走行性と安全技術を兼ね備えたジムニーの進化を見届けていきたい。

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