マセラティ レヴァンテ(Maserati Levante)は、2016年より販売が開始された、マセラティのSUVである。
マセラティがSUVを発表したのは、創立から100年以上の歴史を持つマセラティ社では初めてのことである。
これも昨今のSUV人気が長く続いていることから、SUVをラインアップさせてきているのであろう。
2018年には、最近のマセラティの車に定番となってきた「グランルッソ」と「グランスポーツ」の2種類のトリムオプションを設定し、2種類の方向性の違うトリムラインによって、ユーザーの好みの選択肢を広げる。
SUVながら、これまでのマセラティというメーカーのパフォーマンスや高級感を完全に継承した、マセラティ レヴァンテについてご紹介していきます。
車名の由来は、地中海からジブラルタル海峡へ吹き抜ける東風を意味する。
レヴァンテ(Levante)の価格は
グレード | エンジン | 最高出力 | 駆動方式 | 価格 |
Levante | V6 ガソリン | 350PS | AWD | 1,100万0,000円 |
Levante S | V6 ガソリン | 430PS | AWD | 1,360万0,000円 |
Levante GTS | V8 ガソリン | 550PS | AWD | 1,840万0,000円 |
Levante Trofeo | V8 ガソリン | 590PS | AWD | 2,035万0,000円 |
Levante Diesel | V6 ディーゼル | 275PS | AWD | 1,020万0,000円 |
ラグジュアリースタイルを追求するグランルッソ、よりダイナミックなドライビングを体験するグランスポーツの2種類のトリム
2017年に発表されたクワトロポルテから採用された「トリム戦略」を、レバンテでも展開し「グランルッソ」と「グランスポーツ」というオプションラインが登場した。
グランルッソ
エクステリアには、シルバーのフロングリルとメタリック仕上げのアンダーガードを備えて軽快なイメージでまとめられている。
この他ボディ同色のサイドスカート、漆黒のブレーキ・キャリパーが標準となり、こちらもフロント・フェンダー後方下にはグランルッソのバッジが装着される。
インテリアはルッソの名にふさわしい、SUVとは思えぬ豪華な仕立てとされている。
エルメネジルド・ゼニア製のシルク・マテリアルを中央に配したレザーのフロントシートは、12方向電動調整式のコンフォート・シートを採用して快適性も追求している。
グランルッソには、オプション設定のHarman Kardonプレミアム・サウンド・システムをグランルッソには標準装備させ、臨場感溢れるサウンドを楽しみながらドライブも楽しめます。
グランスポーツ
エクステリアの特徴はブラックのフロントグリルをはじめ、ブラック仕上げのアンダーガード、ノーズのトライデントにブルーの色差しがされ、サイドスカートはボディ同色となる。
細かい部分ではブレーキキャリパーが標準でブラックとなり精悍なイメージとなっており、またギブリと同様にフロント・フェンダーのホイールアーチ後方にはグランスポーツのバッジが装着される。
インテリアではスポーツステアリングホイールや12ウェイ・スポーツシート、スポーツペダルなどを備え、グランスポーツの名にふさわしいスポーティな仕立てとされて、見るものを圧巻させる。
マセラティらしいハイパフォーマンスエンジンにて、マセラティさを忘れず、燃費や環境性能を最大限引き出したディーゼルモデルのラインアップ
レヴァンテに搭載されるエンジンは、フェラーリとの共同開発にて設計したエンジンを採用し、2016年からトリノにあるフィアットのミラフィオリ工場で生産される。
SUVとはいえ、マセラティの名に恥じないハイパフォーマンスなエンジンラインアップを紹介していこう。
Levante(ベースグレード)に搭載されるエンジン
Levanteに搭載されるエンジンは、3.0L V6 ツインターボエンジンが搭載され、最高出力350PS/5,500rpm、最大トルク500N・m/1,600~4,500rpmを発揮し、0-100km/h加速は6.0秒、最高速度は243km/hとなっている。
Levante Sに搭載されるエンジン
搭載されるエンジン自体は、ベースグレードと同じだが、Levante S用にチューニングが加えられ、最高出力430PS/5,750rpm、最大トルク580N・m/1,750~5,000rpmを発揮し、0-100km/h加速は5.2秒、最高速度は264km/hとなっている。
Levante GTSに搭載されるエンジン
搭載されるエンジンは、Levante・Levante Sとは異なり、3.8L V8 ツインターボエンジンが搭載され、最高出力550PS/6,000rpm、最大トルク733N・m/3,000rpmを発揮し、0-100km/h加速は4.2秒、最高速度は292km/hとなっている。
Levante Trofeoに搭載されるエンジン
搭載されるエンジンは、LevanteGTSとは同じものを搭載しさらにパワーアップさせたエンジンで、最高出力590PS/6,250rpm、最大トルク734N・m/2,500rpmを発揮し、0-100km/h加速は3.9秒、最高速度は304km/hとなっている。
0-100km/h加速は圧巻の4秒切りの3.9秒で、最高速度に至っては304km/hと、レバンテにしか出来ない圧倒的なスペックに驚く。
Levante ディーゼルに搭載されるエンジン
Levanteディーゼルに搭載されるエンジンは、3.0L V6エンジンが搭載され、最高出力275PS/4,000rpm、最大トルク600N・m/2,000rpmを発揮し、0-100km/h加速は6.9秒、最高速度は230km/hとなっている。
ディーゼルエンジンの特性を活かし、低回転から力強い走りを体感でき、余裕なトルクでドライブを楽しくする。
正確なシフトチェンジはもちろん、洗練された乗り心地を実現するオートマチックトランスミッション
専用パークボタン付きで、新たに2レーン・ギアレバーが搭載されたZF製8速オートマチック・トランスミッションを採用しており、素早いシフトチェンジ、燃費向上、さらに快適な走り、より洗練された乗り心地を実現する。
新システムにはマニュアルボタンがなく、ギアレバーを左側のチャンネルに入れるだけで、マニュアルモードを選択できる。
また、ギアレバー横のスイッチを操作すると以下の走行モードを自由に選択可能となっている。
モード | 効果 |
オート・ノーマル | エンジン回転数が低くてもスムーズなシフトチェンジを可能にし、燃料消費を最小限に抑制するデフォルトのモード。 |
オート・スポーツ | エンジン回転数が高くても素早くギアチェンジし(100ms以下)、スポーティなドライビングが楽しめるモード。 |
マニュアル・スポーツ | トランスミッションを自由自在に操作可能なモードで、急激なエンジン回転数低下時は、自動でシフトダウンします。 |
オート・オフロード | オフロードモードのメリットに加え、自動でシフトチェンジ。 |
I.E.C.(制御性&効率性向上) | アイスバーンや滑りやすい路面に最適な他、静かでスムーズ、かつ燃料消費を最小限に抑制します。 |
コルサ(Trofeoのみ搭載) | エンジン、トランスミッション、エア・サスペンション、スカイフック、ステアリング、エクゾースト・システム、トラクション・コントロール、そしてスタビリティ・コントロールを即座にダイナミックな設定になります。 |
フルLEDアダプティブマトリックスヘッドライト
デザインアクセントとしてエクステリアを際立たせながら、運転者や他の道路利用者により高い安全性と利便性を提供する新しいフル・アダプティブ・マトリックスLEDヘッドライトを採用。
全照射モードでは15個のLED球が点灯し、通常のハロゲンライトよりも照射範囲が200%拡大します。
インフォテイメント・システムの仮想ボタンを使い、アダプティブ・ドライビング・ビームなど最新テクノロジーのオン・オフが可能。
運転者より先にコーナーを把握し、対向車や先行車を直接照射することがないよう、眩しさを軽減。100~800m離れた車両に対して2秒未満、100m以内の人や車両に対して1.25秒未満という早さで瞬時に実行します。
インテリジェントAWDシステム
路面が滑りやすいときでも、マセラティが誇る後輪駆動ならではのドライブフィールを体感できるQ4インテリジェントAWDシステムは、ノーマルコンディションでは、Q4がトルクの100パーセントを後輪に配分し、ドライビングダイナミクスと最適な燃料消費を完璧なバランスで両立する。
急激な加速や後輪のグリップ低下でトラクションが失われた場合は、同システムが状況に応じて前輪・後輪のトルク配分を0:100から50:50の範囲で変更し、その調整速度は、瞬きよりも速いわずか150ミリ秒となっている。
またこのクラスには珍しく、トルクベクタリングと機械式リミテッド・スリップ・ディファレンシャルを後輪に装備し、オフロード走破性と操縦安定性を高めている。
SUVにグランツーリズモの意志を融合させた足回り
マセラティの伝統である、ダブル・ウィッシュボーン・サスペンションをレヴァンテにも採用し、フロントは、運転者の意図に正確なステアリング操作を実現するため、アルミニウム製を採用。
リアは、ダイナミックなパフォーマンスと快適性をバランスよく両立させるため、5アーム・マルチリンクシステムを採用し、また前後のサスペンションにアンチロールバーを設定することで、快適なドライビングを実現させた。
スカイフック・システム
スカイフック・システムは、状況に合わせてショック・アブソーバーが自在に対応します。
ボディと車輪の動きやダンパー設定、サスペンションの高さをモニタリングしながら、選択した走行モードに応じて、各車輪のダンピング・レートを別々に調整する。
ブレーキシステム
ボディと車輪の動きやダンパー設定、サスペンションの高さをモニタリングしながら、選択した走行モードに応じて、各車輪のダンピング・レートを別々に調整する。
マセラティ純正のフロントガラスサンシェードになります。
かっこいいレヴァンテロゴ入り。
いつでも安心してドライブを楽しくするために、先進運転支援システム(ADAS)によりどんな状況でも走り抜けていく安心さを持つ
レヴァンテをデザインするにあたり、マセラティが最も重視したのは安全性で、最高レベルのパフォーマンスとラグジュアリーを提供するだけなく、ユーロNCAPテストで最高評価の5つ星を獲得した安全性能を搭載している。
日本列島を横断するようなロングドライブのとき、高速道路を疾走するとき、あるいは悪路を走破するときでさえ、レヴァンテの様々な先進運転支援システムが搭載されているので、大きな安心感を与える。
ストップ&ゴー機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)
アダプティブクルーズコントロールは、フロントグリルのトライデントの裏側に装着されたレーダーセンサーとルームミラー裏側のカメラによって、前方車両の存在を常にモニタリングし、レーダーセンサーが前方車両を検知すると、システムが自動的に作動して、速度と車間距離を調整する。
速度が変化するたびにクルーズコントロールを作動させなくても、あらかじめ設定した希望の速度が維持される。
ストップ&ゴー機能
停止と発進を繰り返す渋滞などの交通状況において、前方車両が停止すれば、ストップ&ゴー機能が起動し、完全に停止するまでブレーキをかけ、その後、停止が2秒未満であれば自動的に車両を再発進させる。
レーンキーピングアシスト(LKA)
レーンキーピングアシストは、ルームミラーの裏側に設置されるカメラによって、前方の進路を継続的に追跡する車線をモニタリングし、車両が意図せず車線からはみ出しそうになると、ステアリングを振動させて運転者に警告し、運転者が車両を車線の中央に戻す操作をサポートするために操舵トルクを加える。
レーンキーピングアシスト作動状態のディスプレイ表示について
白線:車線の境界が正しく検知され、レーンキーピングアシストが介入できる状態。
黄色の点滅する線:車両が中央から外れ、車線の左右どちらかに寄っていること示す。
黄色の線:車両が車線から逸脱していることを警告し、タッチスクリーンで視覚と触覚ボックスが選択されている場合、この時点でレーンキーピングアシストが作動して、ステアリングの補正を行う。
アクティブブラインドスポットアシスト(ABSA)
アクティブブラインドスポットアシストは、死角に進入する車両との衝突を防止、または緩和を試みる機能で、リヤバンパーフェイシアに配置されたレーダーセンサーを使用し車両を検知する。
車線の検出と推定のために、内部バックミラーの後ろに配置されたカメラを使用します。
左右の死角を感知して、近くの車両との間隔を絶えず確認し、運転者がドアミラーで確認できない死角に入る車両を検知すると、ドアミラーに内蔵された警告灯を点灯させることで運転者に警告する。
それに加え、警告音を鳴らし、オーディオ使用中であれば音量を下げます。
ヒルディセント・コントロール(HDC)
ヒルディセント・コントロールは、アンチロック・ブレーキシステム(ABS)を使用して、各ホイールの速度を制御します。
その際に、運転者がブレーキペダルやアクセルペダルを踏む必要はありません。
運転者がアクセルペダルを踏まずに車両が加速すると、システムは自動的にブレーキを作動させ、設定速度まで徐々に減速します。
アクセルペダルまたはブレーキペダルを踏むと、ただちにシステムが無効になります。
サラウンドビューモニター
サラウンドビューモニターは、車両周囲に設置された4台のカメラから提供されるすべての情報を組み合わせて車両の周囲360°の画像を作成し、非常にクリアな視界を表示することで、駐車する際の運転をサポートする。
道路標識自動認識システム(TSR)
道路標識自動認識システムは、ルームミラーの裏側に設置された前方監視デジタルカメラとナビゲーションシステムのデータを用いて交通標識をモニターする。
検知することが可能な標識は、「速度制限標識」「一時的な速度制限標識」「追い越し禁止ゾーンの標識」の3種類をカバーしている。
前方衝突警告プラス(FCW Plus)
前方衝突警告プラスは道路を常に感知し、前方監視レーダーセンサーと電子ブレーキコントローラー(EBC)から情報を取得することで、前方の車を監視する。
前方衝突警告プラス機能が車両を検知し、前方衝突が発生する可能性があると判断した場合、即座に警告ブレーキ作動とともに視覚的および聴覚的な警告を発し、運転者が危険に対応した行動を起こさない場合、自動緊急ブレーキシステム(AEB)が作動する。
システムは、緊急停止を行って追突を回避または車両の被害を軽減するために、必要に応じて自動的にブレーキを作動させ、前方車両との衝突の可能性がなくなったと安全システムが判断すれば、警告メッセージは解除される。
6つのエアバッグ
フロントには、運転者や助手席の乗員を衝突の衝撃から保護する2つのデュアルステージエアバッグと胴体と腰部を保護する2つのサイドエアバッグを備えている。
また、センターピラー横のルーフライニングに装備された2つのウィンドウ・エアバッグが、前席と後部座席の乗員の頭部を保護する。
インテリアに溶け込んだ、シンプルで直感的に操作ができるコネクテッド機能
運転席正面のアナログ式タコメーターとスピードメーターの中央に、7インチTFTディスプレイを搭載。
また、ダッシュボード中央には8.4インチ・マセラティ・タッチ・コントロール・プラス(MTC+)を配置。
直感的な操作を可能にするため、ボタンの数を最小限に抑えながら、インターフェースのレスポンスを向上することで、運転者は前方の道路状況に集中することができる。
また、フロントシートヒーター、ベンチレーション、ステアリングホイールヒーター、リア・サンシェード(オプション)を操作できる他、リア・パーキング・カメラを使用してリアビューをガイドライン付きでスクリーンに表示できます。
MTC+はミラーリング機能を搭載し、Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応している。
iPhoneユーザーは、AppleのSiriがパーソナルアシスタントになり、音声コマンドを使用してタスクを実行し、Siriに話しかけることで、通話、音楽再生、メッセージ、リマインダー、メールの読み上げ、ウェブサイトへのアクセスなどが可能になります。
AUX、USBソケット、SDカードリーダーを使ってインフォテイメント・システムに接続します。
さいごに
マセラティ レヴァンテはいかがだったでしょうか?
冒頭でも、お伝えしたとおり昨今のSUV人気が、マセラティにも後押しし、今やマセラティの生産台数の57%を占め、日本市場でも50%がレヴァンテとなっており、記録的な販売台数をマークし続けている。
確かに、街中で見るマセラティのラインアップでは、各車種、頭一つ抜けて売れている車種という感じはしないが、50%がレヴァンテとなっていることには正直驚いた。
ただ、レヴァンテを選択しているユーザーはこれまでのゆったりとSUVに乗ってアウトドアやドライブを楽しむユーザーとは違い、歴史のあるマセラティのハイパフォーマンスでラグジュアリーなSUVに乗りたいという気持ちから選んでいるユーザーは少なくないだろう。
エクステリアデザインも、マセラティらしいスポーティでラグジュアリーも感じられる伝統をしっかり、レヴァンテにも継承し、今やマセラティファミリーに堂々とその存在を表せる重要なポジションにいるクルマであることは間違いない。
この記事の参考URL:https://www.maserati.com/jp/ja/models/levante
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