働くクルマの代名詞として君臨し続けるのが、「トヨタ・ハイエース」と「日産・NV350キャラバン」です。
両者ともに、バン・ワゴン・バスの3タイプを有するワンボックスカーで、ビジネスシーンのみならず、様々な用途にも対応する優れたクルマです。
ハイエースの新車販売台数は、2019年には約9万3,000台、2020年は約7万8,000台となっていて、一方キャラバンは2019年には約2万5,000台、2020年は約2万台となっており、販売台数はハイエースが3倍以上となっており、この数字からハイエースのほうが圧倒的な実力を誇っていましたが、2021年にキャラバンがマイナーチェンジしたことにより、ハイエースの実力は肉薄になってきています。
両者ともに同じワンボックスタイプの車両で、大きさや性能も非常に似ているため、購入検討する際にどちらを選択すればいいか迷うかもしれません。
今回は、「トヨタ・ハイエース(以下、ハイエース)」と「日産・NV350キャラバン(以下、キャラバン)」の違いについてお話します。
ハイエースとキャラバンの違いを徹底比較
基本スペック
両車ともに、似たようなボディサイズではありますが、基本スペックではどのような違いがあるのか?
比較するグレードは、両車の中でも人気の高いグレードである「ハイエース・スーパーGL」と「キャラバン・GRANDプレミアムGX」で基本スペックを比較します。
ハイエース・スーパーGL (2WD、ディーゼル) | キャラバン・GRANDプレミアムGX (2WD、ディーゼル) | |
全長 | 4,695mm | 4,695mm |
全幅 | 1,695mm | 1,695mm |
全高 | 1,980mm | 1,990mm |
ホイールベース | 2,570mm | 2,555mm |
乗車定員 | 2~5人 | 2~5人 |
車両重量 | 1,930kg | 2,000kg |
最小回転半径 | 5.0m | 5.2m |
燃費(WLTCモード) | 12.4㎞/L | 11.3㎞/L |
最低地上高 | 195mm | 160mm |
荷室長 | 3,000mm | 3,050mm |
荷室幅 | 1,520mm | 1,520mm |
荷室高 | 1,320mm | 1,320mm |
エンジン | 2.8Lディーゼルエンジン | 2.4Lディーゼルエンジン |
排気量 | 2,754cc | 2,439cc |
最大出力 | 111kW(150.9ps) | 97kW(131.9ps) |
最大トルク | 300N・m | 370N・m |
ボディサイズは、キャラバンの方が全高が10㎜高いだけで、全長や全幅は変わりません。
異なる点は、ホイールベースの長さや最低地上高、荷室寸法などとなっています。
エンジン性能
ハイエースのエンジンラインアップは、「2.0Lガソリン」・「2.7Lガソリン」・「2.8Lディーゼル」となっており、キャラバンのエンジンラインアップは、「2.0Lガソリン」・「2.5Lガソリン」・「2.5Lディーゼル」のラインアップになっています。
より、パワフルなエンジンを選べるのがハイエースで、エンジン容量が大きく馬力があります。
一方、キャラバンはハイエースよりも、最大トルクが大きいため、荷物を多く積んでいる状態でもスムーズに加速し、静粛性も2WDではキャラバンが上回ります。
燃費性能では、僅かながらハイエースのほうが低燃費となっています。
仕様、グレード展開
ハイエース、キャラバンともに仕様やグレード展開が豊富なのもユーザーにとっては魅力的なものです。
車両の仕様については、両車ともに以下のような選択肢があります。
・ボディ長:ロング、スーパーロング
・ボディ幅:標準、ワイド
・ルーフ形状:標準、ミドル(ハイエースのみ)、ハイ
・フロア形状:標準、低床(ジャストロー)
・駆動方式:2WD、4WD
・エンジン:ガソリン、ディーゼル(容量はそれぞれ異なる)
以上のようになっており、ボディサイズや駆動方式、エンジンの種類の組み合わせによって、どちらも何十種類というバリエーションとなります。
グレードについては、ハイエースよりキャラバン方がグレード展開が豊富であり、上質感のある「AUTECH(オーテック)」や「GRANDプレミアムGX」といった「乗用車」としての販売を強化したグレード展開は魅力的である。
居住性と積載量
荷物を多く載せるシーンが多い方は、キャラバンをおすすめします。
ハイエースに比べ荷室長が50mm長いことから、ハイエースでは積載ができない、10尺長のものを置けるようになっています。
居住性や積載量は、キャラバンが優位と言えます。
シートアレンジ
スーパーGL(ハイエース)とGRANDプレミアムGX(キャラバン)の場合、乗車定員はともに5人で、シートアレンジはそれぞれに特徴を持っています。
ハイエースの場合、2人乗りでは後部座席をフラットにした「オールフラット」仕様にできます。
運転席や助手席を倒し、後部座席もフラットにすることで車中泊を行うときや、多くの荷物を載せたい際には非常に便利なシートアレンジが可能です。
キャラバンでは、後部座席を5:5分割でき、また後部座席は折り畳んで収納できるので、荷物の量にあったシートアレンジが可能です。
安全性能
両車ともに、安全性能の実力としてはほぼ互角と言って良いです。
ハイエースはToyota Safety Senseを標準装備しており、オプションでパノラミックビューモニターも装備できます。
しかし、キャラバンの場合は、ハイエースと同様の安全装備を備えているのに加え、標識探知機能やふらつき警報も備えているため、新しさのあるキャラバンの方が、安全性能はわずかに優れている。
耐久性
耐久性に関しては、キャラバンよりも多くの販売実績や、長年使っても壊れにくいことから断然ハイエースのほうが耐久性はあります。
だからと言って、キャラバンが壊れやすいということではないので注意していただきたい。
ご自身の乗るサイクルに合わせて選択することが良いでしょう。
さいごに
これまでは、ハイエースのほうが安全性能や走行性能もキャラバンよりも上と言われていましたが、現在ではキャラバンを選ぶ方も多くなっているようです。
ボディサイズや安全性能など、ほぼ互角であることから、「一概にどちらが優れている」とは言い切れません。
ハイエースとキャラバンには、それぞれの強みがあるので、ご自身の使用目的や重視するポイントを理解した上で、選択するのが良いでしょう。
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