日産のNISMOと言えば、1984年に日産のワークスチームのひとつである大森ワークスを母体に設立された、モータースポーツ向け自動車部品の設計・製造・販売、レースへの参戦などを行っていた、日産における本気のワークスチームである。
2022年4月1日には、株式会社オーテックジャパンと経営統合して社名を「日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社」とし、以後本社はニスモ事業所に変更され、「NISMO」ブランドは継続しており、今では電気自動車のリーフや、ノートオーラ等の乗用車をはじめ、スポーツカーであるGT-RやフェアレディZにNISMOバージョンが存在します。
そして、日産自動車は8月8日、「スカイライン NISMO」と、特別仕様モデル「スカイライン NISMO Limited」を発表しました。
今回発表したスカイライン NISMOは、1963年にフルモデルチェンジを行った2代目スカイラインで、初の「GT」を継承するGTカーとしての資質に、NISMOならではのモータースポーツで磨かれたレーシングテクノロジーを活かし、空力とシャシー技術を融合することにより、より速く、気持ちよく、安心して走れる究極のGTカーを目指して開発されました。
60年以上続くスカイラインの歴史を継承し、スタイルとパフォーマンスを高めたスカイライン NISMOについて解説します。
エクステリアデザイン
スカイライン NISMOは、その車名にある通り、「NISMO」尽くしで、あらゆるところにNISMO専用パーツがあしらわれており、ひと目で通常のスカイラインとは異なる事がわかる。
前後バンパーには、NISMOロゴ入りの細く鮮やかなレッドアクセントがあしらわれ、サイドシルプロテクターも同様、レッドアクセントで、スポーティさを前面に出した、本気の走りの予感が感じられるデザインとなっている。
灯火類では、前後に専用LEDフォグランプが装備されており、フロントフォグランプは横長で薄型のレンズによって、ワイド&ローのイメージを主張し、リアフォグにはリアバンパーの中央に、縦長のスポーツカーらしいデザインとなっている。
足回りでは、NISMO専用エンケイ製19インチアルミホイールに、専用タイヤとなるDUNLOP SP SPORT MAXX GT 600が組み合わされ、サイズは、フロント245/40R19 98W、リヤ265/35R19 98Wとなっており、フロントタイヤに比べ、リアタイヤの幅は20mm拡大されており、前後のタイヤのグリップ力を高次元でバランス取りされている。
両サイドのフロントフェンダーには、専用GTエンブレムが取り付けられています。
ボディカラーには、NISMOステルスグレー(NISMO専用色)・カーマインレッド・ブリリアントホワイトパール・ダークメタルグレー・メテオフレークブラックパールと、5種類のカラーバリエーションになっており、ダークメタルグレー以外は、特別塗装色となっています。
インテリアデザイン
インテリアデザインには、全体を黒基調で統一し、高級感のある室内空間としています。
コクピット周りでは、レッドセンターマーク付きで、高級感とスポーティ感を演出する専用本革巻きステアリングが採用され、280km/hまで刻まれたスピードメーターに、気持ちを高ぶらせるレッドリングタコメーター、NISMOロゴを配したNISMO専用ファインビジョンメーターなど、細部までNISMOらしいこだわりが、さらに走りに対する本気度が伝わってきます。
オプション設定で用意される、NISMO専用チューニングRECARO製スポーツシート(前席)&カーボン製フィニッシャーは、黒を基調に赤をセンターに配置し、スウエード調表皮の貼り分け位置にこだわり、急旋回時でもシート中心部に体圧が残る高いホールド性を実現しているのに加え、着座時に体圧の分散を最適化する座面構造の採用により、高い快適性を実現しています。
そして、センターコンソールには1,000台限定のシリアルナンバーを刻印したNISMOシリアルナンバープレートが施されており、オーナーとしての優越感に浸れます。
走行性能
スカイライン400Rで搭載される、V型6気筒DOHC 3.0リッター直噴ターボの「VR30DDTT」型エンジンに、NISMOの長年のレース活動で得たノウハウを注入した、専用エンジンチューニングが施されています。
実際にGT500用エンジン開発に携わった開発者が同じ実験設備を使用してチューニングを施し、最高出力を298kW(405PS)から309kW(420PS)と、15PS向上させ、最大トルクも475N・m(48.4kgf・m)から550N・m(56.1kgf・m)へと大幅に向上しています。
アクセルを踏み込んだ際の力強い加速と、長く持続する加速力など、VR30DDTTエンジンのポテンシャルを最大限に引き出した走りが愉しめます。
ドライビングモード
パワーユニットのパフォーマンスアップに対応し、エンジンやトランスミッション、ステアリング、サスペンションなどを統括制御するドライブモードセレクターにもNISMO専用チューニングが施されています。
STANDARDモードとSPORTモードでは、増大したエンジントルクを活かした加速の伸びと余裕を得られる専用の特性を採用しし、加えてSPORTモードはNISMO専用シフトスケジュールを採用し、ワインディング走行時の加速レスポンスの良い走りを実現しています。
グランドツーリングとしてのゆとりの走りと、パフォーマンスセダンならではの爽快な走りを両立しているので、状況に合わせた走りの愉しさが体感できます。
サスペンション
タイヤのワイド化に対応し、前後のサスペンションにもチューニングが行われています。
NISMO専用リヤスタビライザーを採用したことで、バネ定数を44%アップ、さらにフロントサスペンションスプリングのバネ定数も4%アップしました。
これによりワインディング走行時のロールを抑え安定感を向上するとともに、起伏のある路面でのピッチングを抑制し、タイヤのパフォーマンスを最大限に発揮することを可能としました。
ブレーキ
限界性能の向上に合わせて、4輪対向ピストンブレーキに耐フェード性が高いLow Steelブレーキパッドを採用しています。
ベースのスカイライン400Rに比べて、温度比較で約1.5倍の耐フェード性を確保できたことにより、ブレーキングを多用するダウンヒルでも、安定した制動性能を実現しました。
車体剛性
スカイラインNISMOはウインドウシールド接着剤をNISMO専用とし、GT-R NISMOで培った技術である高剛性接着剤を、フロント/リヤウインドウに採用しています。
この高剛性接着剤により、単品特性としては静剛性1.5倍、動剛性9倍となり、車体としての補剛効果はスカイライン400Rに対して全体捩り剛性値が約15%向上しています。
これにより操舵に対する応答の遅れが減少し、コーナリング時にはドライバーの意のままのハンドリングが行なえ、気持ちのいいフィーリングが味わえます。
スカイライン NISMO Limited
1964年のスカイラインGTのレース仕様をオマージュしたデカールなどの専用装備を採用した、100台限定のモデルとなっています。
GT-Rのエンジンと同一の「横浜工場 匠ライン」で、GT-Rエンジンと同一のブースで、匠による手組みのエンジンが搭載されます。
匠ラインのブースで部品ごとの温度ばらつきを均一化した後に、バルブクリアランス公差を通常の±40μmから±20μmまで高精度化し、性能ばらつきを極限まで低減しています。
エンジンルームに配された、匠の名とエンジンシリアルナンバーが刻まれたNISMO Limited専用 匠ネーム&シリアルナンバーラベルは、その高精度の証となっています。
搭載されるオートマチックトランスミッションには、納車されたその日から最適状態となるように造り出された特別走行パターンを栃木工場で実施します。
これにより、オートマチックトランスミッション個体に対する変速学習を促進完了させた上で出荷することで、変速精度をいっそう向上しています。
※出荷検査の特別走行メニューにより、納車時の走行距離が通常よりも進んだ状態となります。
さいごに
NISMOファンはもちろん、往年のスカイラインファンの方には、特に心ときめく仕様のスカイラインが登場しました。
スカイラインの歴史をしっかり継承しながら、最先端の技術により、ただでさえ高性能のスカイライン400Rをさらにパワーアップさせたスカイライン NISMO、及びスカイライン NISMO Limitedは、とても魅力的な1台です。
スカイライン NISMOの価格は、788万400円~847万円(1,000台限定)
スカイライン NISMO Limitedの価格は、947万9800円(100台限定)
購入に関しましては、販売店へお問い合わせください。
この記事の参考URL:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/skyline/specifications/nismo.html
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