マセラティ クアトロポルテ(Maserati Quattroporte)は、1963年に初代モデルが登場し、4,100cc/256馬力エンジンを搭載した最高速度230km/hのスーパースポーツサルーンとして登場した。
この当時から、ハイスペックなセダンとして一目置かれる存在になった。
現行型である6代目モデルは、2013年より販売されており、現代でもクアトロポルテは優れたスポーツ走行性能と、フラッグシップらしい快適性や高級感の漂う、これまでの伝統を継承し現在に至る。
車体サイズは、全長5,270mm×全幅1,950mm×全高1,470mmとなっており、マセラティのエントリーモデルのセダンである、ギブリが全長4,985mm×全幅1,945mm×全高1,485mmとなっているので、全長が一回り大きく全高は15mm抑えられており、ロー&ワイドな印象となっている。
2019年モデルの特徴は、「グランルッソ」と「グランスポーツ」の2種類のトリムオプションを設定し、それぞれ個性を生かしたデザインを、ユーザーが選択することが可能となっている
それでは、マセラティ クアトロポルテについてご紹介していきます。
車名の由来は、イタリア語で「4・4つの」を意味するクアトロと、「扉・門」の複数形を意味するポルテを複合した言葉で、ボディ形状の「4ドア」を意味する。
クアトロポルテの価格は
グレード | エンジン | 駆動方式 | 馬力 | 価格 |
Quattroporte(クアトロポルテ) | V6ガソリン | FR | 350PS | 1,290万0,000円 |
Quattroporte S(クアトロポルテ エス) | V6ガソリン | FR | 430PS | 1,490万0,000円 |
Quattroporte S Q4(クアトロポルテ エス キューフォー) | V6ガソリン | AWD | 430PS | 1,585万0,000円 |
Quattroporte GTS(クアトロポルテ GTS) | V8ガソリン | FR | 530PS | 2,035万0,000円 |
グランルッソ、グランスポーツの2種類のトリムの違い
2017年に発表されたクワトロポルテから採用された「トリム戦略」を、展開しレーシング技術をベースにしたラグジュアリーセダンのコンセプトである「グランルッソ」と、クアトロポルテのスポーツ性とアグレッシブな魅力を際立たせた「グランスポーツ」というオプションラインが選択可能となっている。
グランルッソ
エクステリア
エレガントで流麗なブリッジエレメントと精巧にデザインされたスポイラーを備える新しいデザインのフロント下部セクションは、クローム・インサート・バンパーとボディ同色バンパーといったディテールが異彩を放ちます。
バンパーの形状はサイド・スカートのデザインと調和を図っており、一方、リアはよりシンプルにまとめられ、リフレクターの造形とボディ同色のスポイラーが特徴的だ。
20インチのマーキュリオ・ホイールとブラックのブレーキキャリパーがエクステリアのルックスの完成度をより高めている。
インテリア
インテリアには、エルメネジルド・ゼニア・エディションのインテリアを採用しており、オリジナルのシルクファブリックは他に類を見ないエレガントな素材であり、シート、ドア、ルーフライニング、サンバイザーに贅沢使用している。
シートのディテールやサンバイザーの裏側にあるラベルはゼニアのスーツをモチーフとしており、特別に仕立てられたものであることを示しています。
ダッシュボードとウッド&レザーステアリングに用いたオープンポア仕上げのラディカ・ウッドにより、キャビンの雰囲気は一層洗練度を高めている。
このウッドトリムは、電動調節式フット・ペダル、電動リア・サンブラインド、4ゾーン・エア・コンディショニング、ヒーター付リアシート、エクステンデッド・キーレス・エントリーなど、快適性を追求したオプションとの相性が抜群となっている。
グランスポーツ
エクステリア
フロントには、センターエアインテークとサイドエアインテークのために特別な造形を施し、冷却性能の改善を実現する一方で、フロント部にアグレッシブな表情を与えている。
また、下部セクションのパーツはエアロダイナミクスを追求したグリルへとつながり、またリアでは、リア・バンパーにエアロダイナミック・フィンが装着され、エグゾーストパイプと共にアグレッシブなスタイルがスポーツ性を明確に打ち出しています。
さらに、フロントとリア各所に施されたブラック・ピアノ・トリムがスタイルの完成度を高めている。
また、ホイールには21インチのチタン・ホイールが装着され、レッドのブレーキキャリパー、フロントのトライデントとサイドのサエッタ・ロゴに用いられたブルーのアクセント、ホイールセンターキャップにはブルーのトライデントが配されます。
フル・アダプティブ・マトリックスLEDヘッドライト
デザインアクセントとしてエクステリアを際立たせながら、視認性の向上と電力消費量の低減を実現していて、電球の寿命が長いのも大きな強みである。
全照射モードでは15個のLED球が点灯し、通常のハロゲンライトよりも照射範囲が200%拡大、照射距離は55m伸び、ランプの寿命はほぼ2倍となりました。
また、対向車を幻惑せずに優れた視界を確保するアンチグレア・テクノロジーを採用。
ルームミラーに装着したデジタルカメラが対向車と先行車を検出し、アダプティブ・ドライビング・ビーム(ADB)機能も搭載し、ビーム照射範囲の伸びや左右の広がりを自動的に調整しながら、照明効果を最大限に引き上げ、安全性を向上させます。
この機能は、ルームミラーに設置されたカメラとステアリングホイールの位置や速度、走行状況などのデータをモニターする各種センサーにより実現しています。
インテリア
インテリアには最新のスポーツシートが備わり、深い形状に造り込まれているため、スポーティな走りを一段と効果的にサポートします。
さらに、新しいスポーツステアリングホイールには、カーボンファイバー製とフルレザー仕上げの2種類をラインアップしており、どちらも強烈なアイデンティティを主張します。
ハイグロス仕上げを施したピアノ・ブラックのウッドトリム、アルミニウム製のシフトパドルを備えたスポーツステアリングホイール、そしてステンレススチール製スポーツペダルによりスポーティな体験を味わうことができる。
エアクオリティ・センサー装備のクライメート・コントロール
標準装備の自動デュアル・ゾーン・クライメート・コントロールは、外気の温度によって空調システムの強度を調整し、どんな天気でも快適性を維持する。
オプションで、セントラル・トンネルの後部に2つのコントロールを追加できる4ゾーン・クライメート・コントロールは、乗員ひとりひとりが設定と空調を自分好みにカスタマイズできます。
キーレス・ゴー、キーレス・エントリー
標準装備のキーレス・エントリーでは、キーフォブを使用せず、ハンドルを使ってドアやトランクを開けることができます。
さらに、イグニッションスイッチを押した瞬間、エンジンがかけることも可能です。
キック・センサー付電動トランク
トランクのボタンまたはインテリアドームライトパネルを押すだけで、トランクを自動的に開閉できます。
また、両手がふさがっているときはキックセンサーで開けることが可能です。
ウィンドウ
クアトロポルテには、電動ドアミラーを標準装備しています。
電動リア・サンシェードと同様、後方からの光が強くなると次第に暗くなります。
フロントとリアのウィンドウには、防熱防音ラミネートガラスを採用しており快適に過ごすことができる。
マセラティとフェラーリが共同開発した強烈なエンジンに、それを効率よく伝達するパワートレイン
マセラティ・パワートレインとフェラーリ・パワートレインの共同開発による3.8リッターV8エンジン(クアトロポルテ GTS)と3.0リッターV6エンジン(クアトロポルテ、クアトロポルテSおよびSQ4)は、マラネッロのフェラーリの高性能エンジン工場で製造している。
2016年にアップデートされ、エンジン・レンジはEuro 6規制に適合しており、従来のEuro 5適合エンジンと比べてパフォーマンスはそのままに、排ガスと燃料消費量が最大12%低減している。
クアトロポルテ(ベースグレード)に搭載されるエンジン
クアトロポルテに搭載の3.0リッターV6ツイン・ターボ・エンジンは、従来より出力が20hpアップして最高出力は350hp、最大トルクは500Nmを生み出します。
0~100km/h加速は5.6秒4、最高速度は267km/hに達します。
燃料消費量もわずか10.9km/ℓと、50年に及ぶ歴史の中で最も優れた値を実現し、CO2 排出量も212g/kmを達成しています。
クアトロポルテ GTSに搭載されるエンジン
クアトロポルテ GTSに搭載されるフラッグシップの3.8リッターV8ツイン・ターボ・エンジンは、最高出力390kW(530ps)/ 6,800rpm、最大トルク650Nm/2,000rpm-4,000rpmのパフォーマンスを発揮し、静止状態から100km/hまでわずか 4.7 秒で加速するマセラティ史上最も優れた加速性能を誇る。
一方で従来のEuro 5エンジンと比較して排出ガスと燃料消費量を12%低減し、パフォーマンスと燃費のバランスが最適化されています。
正確なシフトチェンジを行い、パフォーマンスを最適化するオートマチックトランスミッション
正確なシフトチェンジにより、パフォーマンスを最適化し、エンジンパワーを意のままにコントロールさせるZF製8速オートマチック・トランスミッションを採用しています。
ドライビング・スタイルに合わせて最適なシフトパターンを選択するオート・アダプティブ・ソフトウェアの採用により、一人一人に異なるドライビング・エクスペリエンスを提供する。
燃料消費を減らし、ロングドライブや高速走行の快適性を向上させる8速ギアは、後輪に駆動力を伝えるため、機械式リミテッドスリップ・ディファレンシャルをすべてのクアトロポルテに標準装備しているので、悪天候や難しい路面状況でもトラクションを維持します。
インテリジェントAWDシステム[クアトロポルテS Q4]
Q4インテリジェントAWDシステムでは、ドライビング・スタイル、ステアリング・アングル、ヨーアングル、スピード、ホイールスリップ、出力の6つのパラメータを常時分析しています。
V6ガソリンエンジンの駆動トルクを状況に合わせて配分します。
ノーマルコンディションでは、Q4がトルクの100パーセントを後輪に配分し、ドライビングダイナミクスと最適な燃料消費を完璧なバランスで両立します。
急激な加速や後輪のグリップ低下でトラクションが失われた場合は、同システムが状況に応じて前輪・後輪のトルク配分を0:100から50:50の範囲で変更し、その調整速度は、瞬きよりも速くわずか150ミリ秒で作動します。
それから、各車輪のグリップを個別にプログラムし、いつでもどこでも最高のダイナミクスを引き出す。
ダブルウィッシュボーン及びスカイフック・サスペンション
状況に合わせてダンパーの減衰力を制御し、サスペンションのセッティングを継続的に最適化するスカイフック・サスペンションを装備。
各ホイールや車体の動きを検知するセンサーを用いて、路面状況やドライビングスタイルを判断し、瞬時にダンパーの減衰力を調節します。
電動パワーステアリング
車速に応じてステアリングのアシスト量を調整するため、タイトなコーナーを走り抜けるときは軽く、高速走行時には重くなり、安定感が増大します。
すべてのクアトロポルテにEPSを標準装備しています。
ブレンボ製ブレーキシステム
エンジンパフォーマンスとしっかりと調和するパワフルなBrembo製ブレーキをすべてのクアトロポルテに搭載しています。
鋳鉄の強度とアルミニウムの軽さを持ち合わせたデュアルキャストディスクにより、ばね下重量を低減、かつハンドリング技術を向上させます。
先進運転支援システム(ADAS)により一般道や高速道路などで安心安全を運転者に享受
クアトロポルテには、さまざまな先進運転支援システム(Advanced driver-assistance systems)が搭載され、ロングドライブや高速道路の走行シーンで運転者の疲労軽減はもちろん、同乗者にも大きな安心感を与える。
ストップ&ゴー機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)
アダプティブクルーズコントロールは、フロントグリルのトライデントの裏側に装着されたレーダーセンサーとルームミラー裏側のカメラによって、前方車両の存在を常にモニタリングし、レーダーセンサーが前方車両を検知すると、システムが自動的に作動して、速度と車間距離を調整する。
速度が変化するたびにクルーズコントロールを作動させなくても、あらかじめ設定した希望の速度が維持される。
レーンキーピングアシスト(LKA)
レーンキーピングアシストは、ルームミラーの裏側に設置されるカメラによって、前方の進路を継続的に追跡する車線をモニタリングし、車両が意図せず車線からはみ出しそうになると、ステアリングを振動させて運転者に警告し、運転者が車両を車線の中央に戻す操作をサポートするために操舵トルクを加える。
アクティブブラインドスポットアシスト(ABSA)
アクティブブラインドスポットアシストは、死角に進入する車両との衝突を防止、または緩和を試みる機能で、リヤバンパーフェイシアに配置されたレーダーセンサーを使用し車両を検知する。
車線の検出と推定のために、内部バックミラーの後ろに配置されたカメラを使用します。
左右の死角を感知して、近くの車両との間隔を絶えず確認し、運転者がドアミラーで確認できない死角に入る車両を検知すると、ドアミラーに内蔵された警告灯を点灯させることで運転者に警告する。
それに加え、警告音を鳴らし、オーディオ使用中であれば音量を下げます。
サラウンドビューモニター
サラウンドビューモニターは、車両周囲に設置された4台のカメラから提供されるすべての情報を組み合わせて車両の周囲360°の画像を作成し、非常にクリアな視界を表示することで、駐車する際の運転をサポートする。
道路標識自動認識システム(TSR)
道路標識自動認識システムは、ルームミラーの裏側に設置された前方監視デジタルカメラとナビゲーションシステムのデータを用いて交通標識をモニターする。
検知することが可能な標識は、「速度制限標識」「一時的な速度制限標識」「追い越し禁止ゾーンの標識」の3種類をカバーしている。
前方衝突警告プラス(FCW Plus)
前方衝突警告プラスは道路を常に感知し、前方監視レーダーセンサーと電子ブレーキコントローラー(EBC)から情報を取得することで、前方の車を監視する。
前方衝突警告プラス機能が車両を検知し、前方衝突が発生する可能性があると判断した場合、即座に警告ブレーキ作動とともに視覚的および聴覚的な警告を発し、運転者が危険に対応した行動を起こさない場合、自動緊急ブレーキシステム(AEB)が作動する。
システムは、緊急停止を行って追突を回避または車両の被害を軽減するために、必要に応じて自動的にブレーキを作動させ、前方車両との衝突の可能性がなくなったと安全システムが判断すれば、警告メッセージは解除される。
シンプルで直感的に操作ができるコネクテッド機能
運転席正面のアナログ式タコメーターとスピードメーターの中央に、7インチTFTディスプレイを配置し、ダッシュボード中央には8.4インチ・マセラティ・タッチ・コントロール・プラス(MTC+)を配置している。
直感的な操作を可能にするため、ボタンの数を最小限に抑え、インターフェースのレスポンスを向上させ運転者は前方の道路状況に集中することができる。
また、フロントシートヒーター、ベンチレーション、ステアリングホイールヒーター、リアサンシェード(オプション)を操作できる他、リアパーキングカメラを使用してリアビューをガイドライン付きでスクリーンに表示できる。
MTC+はミラーリング機能を搭載し、Apple CarPlayとAndroid Autoにも対応し、iPhoneユーザーは、AppleのSiriがパーソナルアシスタントになり、音声コマンドを使用してタスクを実行する。
Siriに話しかけることで、通話、音楽再生、メッセージ、リマインダー、メールの読み上げ、ウェブサイトへのアクセスなどが可能になる。
なお、AUX、USBソケット、SDカードリーダーを使ってインフォテイメント・システムに接続します。
ヴァルド社製のリアスカート(LED付き)になります。
LEDが、レーシーな印象を与えます!
さいごに
マセラティ クアトロポルテはいかがだったでしょうか?
初代からのコンセプトである、類まれなるラグジュアリースポーツセダンの開拓を、継承し現代のクアトロポルテは、上質で高級感溢れながら、最高速度307km/hを出す(GTS)パフォーマンスを兼ね備えている、THEフラッグシップモデルセダンのトップクラスであることに間違いない。
筆者の個人的には、エクステリアデザインでフロントはこれまでのマセラティさが表れるアグレッシブなスタイリングだが、リアデザインは敢えてシンプルにしているが、もう少しアグレッシブさや高級感を出せたのではないかと感じます。
先代モデルより全体的におとなしめな印象だが、2つのトリムによってユーザーの好みを選択できるところでカバーしている印象だ。
しかし、走りの面では相変わらずのスペックとなっているので、走りのセダンを思う存分楽しめるだろう。
この記事の参考URL:https://www.maserati.com/jp/ja/models/quattroporte
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