スズキ ジムニーシエラ(Jimny SIERRA)は、同社の軽自動車であるジムニーの普通車版である。
ジムニー同様、低級振動や重量増などの不利をおして、今なお強度と耐久性を重視したラダーフレーム(はしご型フレーム)を使い続け、サスペンションも前後とも固定軸を用いている。
現代の自動車技術において、乗用車のみならずオフロード車であっても車台のモノコック化、サスペンションの独立懸架化が進んでいる状況の中で、独自かつ稀有な存在である。
そのため、本格オフロード車として日本のみに留まらず、世界中でも高い評価が得られている。
先代モデルでもジムニーシエラは販売されていたが、現行型モデルはエンジンの排気量をアップし、最高出力を高め、ボディサイズも普通車規格のため、一回り大きくなる。
今回は、スズキ ジムニーシエラについてお伝えします。
車名の由来は、ジープ(Jeep)型のミニという意味を込め、「Jeep」と「Mini」「Tiny」をかけあわせ命名されたものであり、メーカーの公式発表でも「発音のしやすさ、覚えやすさなどから作った造語である」とされている。
なお、「ジムニーシエラ」は、「ジムニー」に加え、「山脈」を意味する英語「SIERRA」から由来し、北米発の愛称は「Suzy(スージー)」と、されている。
スズキ ジムニーシエラの価格は
グレード | 駆動方式 | トランスミッション | 価格 |
JL | 4WD | 5MT | 179万3,000円 |
JL | 4WD | 4AT | 189万2,000円 |
JC | 4WD | 5MT | 195万8,000円 |
JC | 4WD | 4AT | 205万7,000円 |
オフロードはもちろん、都心部でも映える頼もしいエクステリアデザイン
ジムニーシエラは、山間部などのワインディングロードはもちろん、シンプルなスクエアデザインによって都心部などの街乗りシーンでも良く似合うクルマだ。
見た目の美しさだけではなく、様々な状況を考えて作られたディテールがジムニーシエラと走る人をサポートする実用性も兼ね備えている。
クラムシェルフード
ボンネットの強度を高めるクラムシェルフードを採用。
スクエアボディ
ガラス面を立て、サイドに雪が溜まりにくくしたスクエアボディー。
オーバーフェンダー
本格4WDとしてのタフさと力強さが際立つワイドなオーバーフェンダーを採用。
バンパーコーナー
高い走破性をサポートする、切れ上がった形状のバンパーコーナー。
ホイールアーチ
タイヤ交換などの整備がしやすい台形ホイールアーチ。
5スロットグリル
ジムニーシエラらしさの象徴を最大限に引き出す、5スロットグリルと丸型ヘッドランプ&独立ターンランプを採用。
過酷な環境での快適な操作性を追求したインテリアデザイン
山道などの過酷な状況であるからこそ、それに対応するようにジムニーシエラは使いやすさと利便性を両立しました。
様々な機能によって、ジムニーシエラと走りたくなる気持ちが高揚します。
助手席乗降グリップ
乗り降りのしやすさをサポートする、機能的なデザインの助手席乗降グリップを装備。
ドアグリップ
握りやすい大型のドアグリップを採用。
サイドルーバー
ブロンズメタリックの加飾(JC)がタフさと重厚感を演出します。
フルオートエアコン
フルオートエアコンを全車に装備することで、いつでも快適空間に。
センタースイッチ
左右にパワーウインドースイッチ、センターにESP OFFスイッチとヒルディセントコントロールスイッチを配置し、さらに、手袋をしたままでも操作しやすいよう、大型のスイッチを採用しています。
立方体メータークラスター
立方体のクラスターに必要計器をシンプルに収納しました。
機能に徹した飾らないデザインと、いつでも高い視認性を確保できる常時照明を採用するとともに、マルチインフォメーションディスプレイをセンターに配置しています。
伝統のメカニズムを、さらなる進化により走破性を高めた走行性能
新開発ラダーフレーム
頑丈な梯子型のフレームにサスペンションなどを取り付け、その上に車体を載せる、本格4WDの伝統を受け継ぐラダーフレーム構造を採用することで、一般的なSUVが採用している乗用車と同じモノコック構造とは一線を画す構造となっている。
新開発したラダーフレームには、X(エックス)メンバーを採用するとともに、前後にクロスメンバーを追加し、ねじり剛性を従来の約1.5倍に高めた。
また、車体とラダーフレームをつなぐボディーマウントゴムを新設計によるもので、上下方向に柔らかくすることで乗り心地を良くし、水平方向に硬くすることで操縦安定性を高めているのも進化の一つとなっている。
パートタイム4WD
ジムニーには初代から一貫して、前輪と後輪をシンプルな構造で直結するパートタイム4WDを採用しています。
これにより、前輪か後輪のどちらかが空転しても駆動力を確保することができる。
機械式副変速機
パートタイム4WDは、路面状況などに応じて2WDと4WDを任意に切り替えて走行することが可能で、その際、2H(2WD)、4H(4WD高速)、4L(4WD低速)のモード切り替え操作を行なうのが副変速機となっている。
4Lは急な登坂路や悪路の走破性を高めるために、通常の約2倍の駆動力を発揮します。
ジムニーシエラでは、2H・4H・4Lの切り替えをダイレクトな操作感があるトランスファーレバーで行ないます。
3リンクリジッドアクスル式サスペンション
ジムニーの伝統のひとつが、3リンクリジッドアクスル式サスペンションです。
左右の車輪をダイレクトにつなぐリジッドアクスル式サスペンションは、一般的な乗用車の独立懸架式サスペンションに比べて、凹凸路で優れた接地性と大きな対地クリアランスを確保でき、また堅牢な構造により過酷な使用環境にも耐える信頼性を実現している。
3アングル(アプローチアングル、ランプブレークオーバーアングル、デパーチャーアングル)
ジムニーがこだわり続けてきた、厳しいオフロードでの高い走破性能を支えているのが、210mmの最低地上高と、十分に確保したアプローチアングル・ランプブレークオーバーアングル・デパーチャーアングルからなる対障害角度だ。
厳しい環境であってもバンパーやアンダーボディーが障害物に接触しにくいよう、綿密に造り込んでいる。
最小回転半径
4.9mの最小回転半径で、狭い道での切り返しなどもスムーズに行なうことができます。
ステアリングダンパー
悪路走行時などの路面の凹凸にステアリングが取られるキックバックを低減するとともに、高速走行時にはステアリングの振動やふらつきを抑えることで高い操縦安定性を実現している。
ブレーキLSDトラクションコントロール
前輪と後輪を直結したパートタイム4WDでも、左右輪のどちらかが空転した場合にはもう一方の車輪の駆動力は失われてしまう、そうしたシーンでの駆動力を確保するため、ジムニーシエラは電子制御のブレーキLSDトラクションコントロールを標準装備している。
駆動状態を4L(4WD低速)に切り替えると、空転した車輪にだけブレーキが作動し、エンジントルクは落とさないため、もう一方の車輪の駆動力をしっかりと確保し、高い脱出性能を実現する。
ヒルホールドコントロール
坂道発進時にブレーキペダルからアクセルペダルに踏み替える瞬間、一時的にブレーキが最長約2秒間、作動することで、車体が後退せず、スムーズに発進できます。
MT車を含め、全車に標準装備しているので安心度が違います。
ヒルディセントコントロール
急な下り坂などではブレーキを自動制御することで車両の加速を抑え、定速走行を実現します。
この機能のおかげで、ステアリング操作に集中できるので、安心して運転できます。
クルーズコントロール[JCに標準装備]
設定した速度(約45km/h~100km/h)を自動的に維持するクルーズコントロールを装備しました。
アクセルペダルを踏み続ける必要がなく、高速走行時や長距離ドライブを快適にサポートする。
ブレーキシステム
ブレーキペダル比やブレーキブースターの最適化によってコントロール性を向上させ、安心感のあるブレーキフィーリングを実現しました。
また、リヤのドラムブレーキは、低速域や静止時にしっかりとした制動力を発揮します。
新開発のK15B型エンジン
軽量・コンパクトな設計を実現し、燃費性能にも優れた新開発のK15B型エンジンを搭載しています。
1.5Lの排気量によって高い出力とトルクを発揮し、オフロードはもちろん、オンロードでも力強くゆとりある走りを楽しめます。
また水や雪、飛び石への対策を施すなど、高い信頼性も備えている。
ジムニーシエラの燃費は
トランスミッション | モード | 数値 |
4AT | WLTCモード | 13.6km/L |
5MT | WLTCモード | 15.0km/L |
トランスミッション(5MT/4AT)
5MTはダイレクト感あふれる軽快なシフトフィールによって、スポーティーな走りも思いのままです。
振動や抵抗も少なく、燃費性能の向上にも貢献します。
4ATには、変速操作をよりスムーズに行なうことができるストレート式を採用し、握りやすいシフトレバーや見やすいインジケーターなど、操作性を高めています。
ドライブをより一層楽しむための静粛性に寄与するボディ構造
様々な箇所に、ノイズなどを遮音する素材や構造についても惜しみなく技術が詰め込まれています。
シフトレバー振動を低減するシフト構造
シフトレバーユニットの取付け方法をトランスミッション2点+フレーム1点とし、シフトレバー振動を低減している。
スズキセーフティサポートの採用で予防安全の強化をはじめ、乗員や歩行者にも安全な衝突被害軽減技術などを本格4WDに搭載
事故を未然に防ぎ、万一のときの安全を確保するために、運転をサポートする様々な技術で、ヒヤリとする場面も限りなくゼロに近づけていくジムニーシエラに備わった「スズキセーフティサポート」についてご紹介します。
標識認識機能[JCおよびJLスズキセーフティサポート装着車]
走行中に、単眼カメラが認識した最高速度、はみ出し通行禁止の標識をメーター内に表示させ、運転者にお知らせします。
走行中に、単眼カメラが認識した車両進入禁止の標識を標識通過前にブザー音とメーター内表示で、運転者にお知らせします。
車線逸脱警報機能[JCおよびJLスズキセーフティサポート装着車]
約60km/h~約100km/hで走行中、車線の左右区画線を検知し、進路を予測し、前方不注意などで車線をはみ出すとシステムが判断した場合、ブザー音とメーター内の表示により警報を発し、運転者に注意を促します。
ふらつき警報機能[JCおよびJLスズキセーフティサポート装着車]
約60km/h~約100km/hで走行中、車線の左右区画線を検知し、自車の走行パターンを計測し、運転の疲れなどで車両が蛇行し、システムが「ふらつき」と判断した場合、ブザー音とメーター内の表示によって警報を発し、運転者に注意を促します。
先行車発進お知らせ機能[JCおよびJLスズキセーフティサポート装着車]
セレクトレバーがD・N・2・Lレンジの位置(5MTはR以外)でブレーキ操作をして停車中、先行車が発進して約5m以上離れても自車が停止し続けた場合、ブザー音とメーター内の表示によって先行車が発進したことをお知らせします。
ハイビームアシスト[JCおよびJLスズキセーフティサポート装着車]
約30km/h以上で走行中に、運転者がライトのスイッチでAUTOかつハイビームを選択しているときに、周囲の環境に応じてヘッドランプのハイビームとロービームを自動的に切り替えます。
対向車や先行車がいる場合や、周囲に街路灯があるような市街地を走行している場合はロービームとなります。
デュアルセンサーブレーキサポート[JCおよびJLスズキセーフティサポート装着車]
前方の車両や歩行者を検知し、衝突のおそれがあると判断すると、ブザー音やメーター内の表示によって運転者に警告します。
ブレーキペダルを踏むと、ブレーキ踏力をアシストし、衝突の可能性が高まると、自動で強いブレーキをかけ、衝突の回避または衝突時の被害軽減を図ります。
誤発進抑制機能[JCおよびJLスズキセーフティサポート装着車の4AT車]
セレクトレバーがD・2・Lレンジの位置で停車または徐行中(約10km/h以下)、前方約4m以内の障害物を認識します。
誤ってアクセルペダルを強く踏むと、エンジン出力を最長約5秒間制御し、急発進・急加速を抑制。同時に、ブザー音とメーター内の表示によって警報を発し、衝突回避または衝突時の被害軽減に貢献します。
軽量衝撃吸収ボディーTECT(テクト)
衝突時の衝撃を効率よく吸収・分散し、また、高張力鋼板を多用するとともに、コンピューターによる構造解析を駆使して、安全性の向上と軽量化の両立を実現している。
歩行者傷害軽減ボディー
ボンネットやフロントワイパー周辺、フロントフェンダー、フロントバンパーなどに衝撃吸収構造を採用することで、万一の歩行者との接触時に、頭部だけでなく脚部へのダメージ軽減を図ります。
6つのSRSエアバッグ
運転席・助手席SRSエアバッグに加え、側面衝突時の頭部への衝撃を軽減するSRSカーテンエアバッグと、胸部への衝撃を軽減するフロントシートSRSサイドエアバッグを全車に標準装備している。
フロント・リヤELR3点式シートベルト
万一の衝突時にシートベルトの拘束性を高めるプリテンショナー機構を運転席・助手席に採用しています。
さらに、胸部への衝撃を効果的に緩和する可変フォースリミッター機構を全席に標準装備しています。
多彩なアレンジ可能のラゲージルームで、長尺物なども積載可能
リヤシートを倒せば、大容量352Lの荷室スペースが広がり、開口部も大きく、荷物の積み下ろしもスムーズに行なえます。
フロアは完全なフラットとなり、スクエアな室内空間と相まってスペースを隅まで無駄なく活用でき、また、使い勝手をさらに高めるユーティリティナット、荷室フックナット、ラゲッジアクセサリーソケットを装備しました。
防汚タイプラゲッジフロア
リヤシートを倒したときの荷室は、入り口から奥まで段差がなくフラットになります。
さらにクォータートリムの張り出しを小さくし、横幅1,300mmのワイドなスペースを実現し、また、リヤシートの背面と荷室を樹脂化した防汚タイプラゲッジフロアを採用しているので、汚れに強いだけでなく、荷物の出し入れもスムーズにできます。
シートアレンジ
フロントシートを後方いっぱいに倒せばフルフラットになり、車内でゆっくり休めます。また、リヤシートを倒せば長尺物も積載できます。
ジムニー専用設計のドリンクホルダーになります。
フロントエアコン吹出口や、ドアグリップに取り付けれるためお好みの場所に取り付けることができます。
さいごに
スズキ ジムニーシエラはいかがだったでしょうか?
ジムニーの普通車版ということで、排気量も2倍以上を発揮するジムニーシエラは、ジムニーのワンランク上にいるポジション的な存在と言っていいだろう。
ジムニーよりも圧倒的にパワーが出ているので、一般道を初め、高速道路ではゆとりのある走行が可能となるだろう。
車格に関しても、一回り大きいボディを持っているので移動空間として窮屈さを感じさせないし、積載量も変わるため、日頃の使い方によるがジムニーシエラも検討の1つとして取り入れてもよいだろう。
基本構造では、ほぼジムニーと変わらないが、より冒険的にワンランク上のオフロード走行を求めるならジムニーシエラをおすすめしたい。
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