中国のインターネット大手である百度(Baidu)は2020年4月20日、中国の湖南省長沙市で一般向けの自動運転タクシーの提供を開始することを発表した。
中国における一般向けの自動運転タクシーサービスとしては初とみられ、当面は無料でサービスを提供するとしている。
百度は2019年9月から同市の一部エリアで自動運転タクシーの実証実験を開始しており、この実証実験はユーザーを限定していたが、今回から一般向けに提供対象を広げた形となる。
自動運転によるサービスが、世界各地で広がってきており尚且つ既に実用しているところもあるので、自動運転技術が急速に進んできている。
今回は、百度による自動運転によるタクシーサービスについてお伝えする。
中国で最大の検索エンジンを提供する百度(バイドゥ)とは?
皆さん、百度という会社をご存知ですか?日本での検索エンジンといえば、「Google」や「Yahoo」などがメインとなっており、この2つの検索エンジンだけでパソコン、スマートフォン両デバイスにおけるシェア率が90%を超える中、バイドゥはパソコンでのシェア率0.33%、スマートフォンでのシェア率0.68%と、全然使用はされていない状況ですが、本国ではGoogle検索を抑えて最大のシェアを占める検索エンジンなのだ。
2000年1月にBaidu,Inc.を創業し、その後急成長を遂げて2005年5月にNASDAQに上場するなど果たしている。
そんな百度(バイドゥ)が2017年7月に、BYD、フォード・ダイムラー、NVDIA、マイクロソフト、インテル、本田技研工業、トヨタ自動車なども参加する自動運転車を共同開発する世界最大の企業連合「アポロ計画」を設立し、翌2018年7月4日に金龍客車と共同開発を進めてきた世界初の高度自動運転バス(レベル4)「アポロン」の量産を開始した。
この様に、百度は検索サイト等で培ってきた技術を、他の企業と協力して自動運転車に関する開発を進めてきたのである。
百度(バイドゥ)の自動運転に関する取り組み
自動運転車向けのソフトウェアプラットフォームをオープンソース化するプロジェクト「Project Apollo(阿波羅)=アポロ計画」は、2017年4月の発表以後パートナー企業が続々と集まり、2018年7月の正式始動を経て着々と事業が進んでいる。
アポロ計画は、百度が「アポロ」と名付けたAIを活用し自動運転を制御するソフトウェアの技術情報をオープン化したプラットフォームサービスで、HDマップサービスや自動運転シミュレーションエンジン、深層学習アルゴリズムなどのリソース共有を行うことができ、開発スピードを早めることが可能となっている。
上述である通り、名だたる大企業とアポロ計画を始めてきたが、始まってからさらにパートナーシップを拡大していき、中国国内の第一汽車、北京汽車、長安汽車、東風汽車、長城汽車、奇瑞汽車、江淮汽車、フォルクスワーゲンの中国法人をはじめ、独BMWやダイムラー、スウェーデンのボルボ、韓国の現代、英ジャガーランドローバーなどの海外自動車メーカーや、独ボッシュ、コンチネンタル、ZF、仏ヴァレオ、ベロダインライダーといった部品大手や自動運転開発関連企業など多くの企業が参加しており、2019年1月時点で、130の企業や研究機関などがパートナー登録しているようだ。
どんどん、パートナーを増やし開発が着々と進んでいる。
今回発表した、自動運転タクシー無料サービスの概要
サービスは実証実験のときと同様に、セーフティドライバーが運転席に同乗する形で提供し、万が一の場合そのセーフティドライバーが運転操作をシステムの代わりに行う形だ。
自動運転タクシーの走行範囲は130平方キロに及ぶエリアで、住宅地や商業エリア、工業エリアも含んでいる。
また、一定エリア内(※今回においては130平方キロ内)においてどこでも自動運転が可能であることを考えると「自動運転レベル4」に相当するようにも感じるが、セーフティドライバーの緊急対応が前提であることを考えると、厳密にはレベル4には達していないと考えられる。
利用者は、百度の地図アプリやタクシーアプリ「DuTaxi」から自動運転タクシーを配車する形となる。
現在の自動運転によるタクシーの運用実績と、百度のこれからの進捗はいかに
世界で初めて自動運転タクシーの商用サービスを開始したのは、Google系ウェイモだとされており、2018年12月から有料の自動運転タクシーサービスを米アリゾナ州フェニックス周辺で提供していて、それに続く企業はどこか、業界では注目が集まっていた。
ちなみにウェイモは既に一部車両でセーフティドライバーも乗せない形でサービス提供を開始していて、そういう意味では百度が有料でサービス提供を開始しても、ウェイモはさらに上をいっていることになる。
そこで今回の発表をうけて、百度がウェイモに続く「世界で2番目」の称号を得られることになるかは微妙なところで、料金を乗客から徴収しない無料サービスであるから、今後無料ではなく有料でサービスを提供したときに初めて「世界で2番目」の運用だと言えることになる。
今回百度が中国で初めて一般向けの自動運転タクシーサービスの提供を開始したことは大きなニュースである。
無料の試験的トライアルという域は超えないものの、いち早い導入で世界最大の市場である中国において百度が将来的に大きなシェアを獲得する可能性が高まったと言える。
さいごに
日本における自動運転における意識というのは高まってきており、2020年4月1日より改正道路交通法により、自動運転自動車における法整備も新たに施工されたので、これから自動運転自動車の普及が急激に進んでいく事が考えられる。
上述したが、実際にアメリカでは運用が始まっているので日本もそう遠い未来の話ではなくなってきてると感じる。
日系の企業も、百度が行うアポロ計画にも参入しているので、ノウハウをいち早く日本にも反映させ、誰もが便利で安心できる自動運転技術を期待している。
トヨタの「LQ」レベル4の自動運転が可能
コメント