運転免許を取り立てで、まだクルマがどういうものなのか分からない人や、何十年もクルマを乗り続けているベテランドライバーでも、知らず識らずにクルマを傷める行為をやっているかもしれません。
クルマは非常に高価なものであり、初めてご自身で買ったクルマや、憧れのクルマをようやく手に入れたなど、それぞれ愛車に対する思いがあると思います。
そんな大事なクルマだからこそ、長くいつまでも調子の良い状態にしておきたいと思うのが常だと思います。
しかし、日常で行っている行為が、クルマを傷めているかもしれません。
今回は、知らず識らずに愛車にダメージを与えるNG行為7選を紹介します。
これらを知っておけば、大切な愛車を労ることができ、さらに愛車への愛着が湧くかもしれません。
無料で一括診断!あなたの愛車査定知らず識らずに大切な愛車にダメージを与えるNG行為とは
クルマが完全停止していない状態での、シフトレバーの操作
駐車場での駐車をする際や、狭い曲がり角での切り返しなど、シフトレバーをDからRや、RからDへのシフトチェンジをする際に、クルマが完全停止する前に操作をする行為は、クルマの「トランスミッション」を傷める原因になります。
かくいう筆者も、過去にはこのような行為をしていました。
マニュアルトランスミッション車(MT車)の場合では、リバースギアに力を逆回転に伝えるためのアイドルギアと呼ばれるギアが搭載されているため、クルマが前方向へ進む力が働いている状態では噛み合わないようになっているため、クルマが完全停止していないと、リバースギアに入らないようになっています。
しかし、AT車では少し位クルマが動いている状態でも、異音もなくDからR、またRからDレンジにシフトが入ってしまいます。
このように、異音がしなくとも実は、トランスミッションに確実に負担が生じており、このような行為を続けていると思わぬタイミングでトランスミッションが故障する可能性があります。
また、AT車の場合、ブレーキを踏むことで簡単にシフトチェンジができてしまうため、完全停止する前にPレンジに入ってしまうものなら、クルマが急停車してしまうことから、事故に繋がってしまう可能性もありますし、なによりトランスミッションにも大きな負担をかけることになります。
DからR、RからDにシフトチェンジする際には、焦らずに一呼吸置いてから、シフトレバー操作をすることで思わぬ事故や故障を回避することが出来ます。
車止めに勢いよく当て、その状態でPレンジに入れる行為
多くの駐車場では、「車止め」が設置しており、主にコンクリートをはじめ、石材や木材、金属やゴム、プラスチックなどさまざまな素材のものがあり、クルマを停止するべき位置を越えないようするという役割を果たしています。
そんな車止めに、勢いよく当てながらクルマを止めているシーンを良く見かけます。
このように、勢いよくタイヤが車止めに当たることで、タイヤやサスペンションに多くの負荷がかかってしまい、実はクルマを傷めている行為になってしまいます。
さらに、車止めにタイヤが当たった時点で、Pレンジに入れることでタイヤやサスペンションに大きな負荷が掛かったままとなってしまいます。
車止めに勢いよく当たった衝撃で、ホイールアライメントに狂いが生じる可能性あり、これによりクルマがまっすぐ走らなくなってしまったり、タイヤの偏摩耗にも繋がります。
このようなことを回避するために、「車止めに当てるスピードは緩やかに」、「車止めに当たったあとは、少し前に出して車止めに干渉しない状態でPレンジに入れる」ことを心がけましょう。
晴天時の炎天下による洗車
大切な愛車ならば、いつでもキレイにしておくと、乗るたびに気持ちも良くドライブすることが出来ますよね。
キレイを保つためには、洗車が欠かせませんが、実は間違った洗車を行っているユーザーが多いのも確かです。
それは、「夏をはじめとする、強い日差しを受けた炎天下での洗車」です。
晴れた状態での洗車は、雨によって濡れることもなく、気持ちよく洗車ができるという気持ちは大いに分かりますが、実は日差しの強い昼間などに洗車をすることで、ボディについた水滴がレンズ効果でシミの原因になるなど、塗装を傷める要因が多々あります。
また、強い日差しですぐにボディ面の水滴が乾いてしまうため、流しきれていない洗剤などが、ボディに焼き付いてしまうこともあります。
どうしても、昼間にしか洗車が行えない場合などには、「直射日光を避けられる日陰」で行ったり、「日差しの弱いくもりの日」などに、洗車を行うことをオススメします。
筆者は、必ず日が落ちた夜間に洗車をするので、できれば日差しの全くない夜間に行うことを一番にオススメします。
エンジン始動直後の急発進や急加速
早朝や、深夜などに周囲に迷惑をかけたくなく、早くクルマを出発させようと、エンジンをかけた直後にアクセルを踏みすぎることは、エンジンを傷める行為です。
エンジン始動直後のエンジン内部や、トランスミッション内部は「オイル潤滑が十分ではない」ため、各機関に油膜不良を起こす可能性があります。
こうなると、エンジン始動後に直ぐに走り出さない「暖機運転」が必要なのではと思いがちですが、最近のクルマでは暖機運転がそこまで必要ではなく、あくまでもエンジン始動直後でも「ゆっくり走り出し、エンジン内部やトランスミッション内部のオイルが適正に潤滑するような暖機運転」を心がければ、ダメージも少なくなります。
理想としては、エンジン始動直後の5分くらいは、急発進や急加速をせずにゆっくり走ることで、適正なオイル潤滑が行えるでしょう。
また、水温警告灯が備わっている車種の場合は、低温時に点灯しているので、消灯するまでアクセルを控えめにすると良いだろう。
ステアリング(ハンドル)の据え切りを多用すること
ステアリングの据え切りとは、クルマが停止している状態でハンドルを回して前輪の向きを変える操作のことです。
現代のクルマには、パワーステアリング装着車がほとんどであるため、エンジンさえ掛かっていれば、軽い力でハンドルを回すことが可能なので、場面によっては据え切りをしなくてはならない時などには重宝します。
では、なぜ据え切りがクルマにダメージを与えているのか?
ステアリングを回すことで、その回転力がステアリングコラム、ステアリングシャフトを通してステアリングラックギアに伝達されます。
そして、そこから左右に伸びたタイロッドを移動させることで、タイヤの角度を変えることが出来ます。
こういった一連の構造上の特性から、クルマが停止している状態でステアリングを回すということは、タイヤの接地面に生じる摩擦力がより大きくなり、それに伴いタイロッドを動かすために大きな力が必要となるのです。
このようなことから、ステアリングを据え切りすることによって、通常よりも高い負荷がステアリングシャフトや、ステアリングラックに掛かるのです。
また、車種によって異なるがフロントタイヤ1本には、数百キロ単位での荷重がかかっているため、クルマが停止している状態でステアリングを切ると、接地しているトレッドゴム(路面と接するタイヤ部分のゴム層)を路面に擦り付けることになるため、タイヤ自体へのダメージも少なくないです。
ただし、各メーカーもこのような状態を考慮して、各部の剛性や強度、耐久性を設計しているので、据え切りを行うことで、ステアリング系の部品が直ぐに故障するといったことはないが、少しでも各パーツに負担をかけないようにするためには、極力ステアリングの据え切りを行わないようにした方が良いのは間違いありません。
クルマを動かすスペースがない場合で、据え切りするのは仕方のないことですが、少しでもクルマを動かすスペースがある場合は、前後にクルマを動かしながらステアリングを回すようにすることを心がけましょう。
長時間のアイドリングを続ける
暑い夏や、寒い冬などにエアコンを効かせる理由で長時間アイドリングを行っているユーザーも多いですが、環境面だけではなく、エンジン内部にも悪影響を及ぼしています。
エンジンの特性上、ある程度早く回転しているときの方が、より熱効率が高く、強い力を出せる性質となっているため、アイドリング時のような低回転時では、エンジンの燃焼としては効率的ではないと言えます。
また、長い時間エンジンが回らなくなることで、油温も上昇せず、適切な潤滑ができなくなる可能性がある上に、スラッジ(エンジン内で燃料が燃焼するのにともなって発生する酸化物質)も出やすくなるため、エンジンやエンジンオイルも汚れやすくなります。
このスラッジが溜まってしまうと、最悪のケースではエンジン分解や載せ替えが必要となるケースもあります。
そして、クルマは「走ること」でラジエータに風を当ててエンジンルームの熱を排出しているため、停車している状態でエンジンを掛けていると、熱がこもりやすくなり、エンジンルーム全体が過酷な状況となり、悪影響を与えます。
久々に使うエアコンの急稼働
エアコンの使用率が下がる冬や春を経て、暑い夏になるとエアコンが欠かせなくなりますが、季節の変わり目にエアコンを急に稼働させると、故障のリスクが高まると言われています。
エアコンを動かす心臓部となるコンプレッサーは、長時間使用していないと内部の潤滑油が下に落ちて、油膜切れを起こす可能性があり、このような状況で一気に高回転まで稼働すると焼付きを起こし、故障に繋がります。
このコンプレッサーを傷めない対策としては、急稼働しないように温度設定や風量調節を行うか、エンジンを停止させるときにエアコンOFFにすることで、次にエンジン始動した時に、エアコンの急稼働を抑制することが出来ます。
さいごに
クルマは、機械でありますので、消耗品の塊であり劣化は避けられないものです。
ただし、上述で紹介してきたことを気をつければ、その劣化を遅らせたり、はたまた故障までいかない様にすることは可能です。
普段のクルマの扱い方で、愛車の寿命が変わってくるので、大切な愛車を長く乗るためには日頃のメンテナンスに加え、クルマに余計なダメージを与えないようにすることをオススメします。
コメント