2018年4月29日、神奈川県綾瀬市の東名高速道路上り線にて自動車2台とオートバイが絡む交通事故が発生し、この事故で救助に入っていた東京都板橋区の男性(当時44歳)が死亡したほか、2人がけがをした。
この事故により、一番後方から突っ込んでしまい3人を死傷させ千葉県浦安市の不動産業の男性を逮捕した。
上記の事故にで行われた裁判が終わり2020年3月31日、横浜地裁は禁錮3年執行猶予5年(求刑禁錮3年)の判決を言い渡した。
今回は、自動運転技術を持っているクルマが起こした事故による概要をお伝えする。
事故当時の状況
この事故で亡くなった、男性を含むバイク仲間の4人でツーリングに出かけており箱根を訪れて東京に戻るために東名高速を走っていた。
海老名サービスエリアを過ぎたあたりで、追い越し車線を4人で走行していたところ、前方を走っていたキャラバンが重体に差し掛かり、急ブレーキをかけたところにツーリング仲間であるひとりの男性が止まったことに対する反応が間に合わず、キャラバンに突っ込んでしまい、衝突した拍子に男性の身体は路上に投げ出されてしまい、ツーリング仲間がオートバイを停めて衝突した男性を中央分離帯まで移動させ腰かけた数分後のことだった。
キャラバンの後ろに停めていたバイクにクルマがノーブレーキで突っ込み、その反動で停めていたバイクが亡くなった男性に当たり、この衝撃によって路上に転倒した際にそのまま突っ込んできた車両が亡くなった方の頭部を轢き、キャラバンに突っ込んだ。
事故を起こしたきっかけは自動運転機能を搭載したクルマだった
事故を引き起こしたことで現行犯逮捕され、まもなく横浜地検が「過失運転致死傷罪」で起訴したのは、49歳の男性被告人だが、彼が運転していたのは、米電気自動車大手・テスラ社の「モデルX」だった。
事故から間もなく始まった刑事裁判での、被告人側の事故の原因として「自動運転自動車」の「暴走」にあると断じ、「無罪」を主張したのであった。
事故を巡る裁判では、「自動運転車」が、「暴走」の果てに人命を奪ったのではないか、という点が争われている。
問題となった「モデルX」はアメリカの著名な実業家、イーロン・マスク氏が立ち上げたテスラ社製の車で、日本では2016年から販売が開始され、自動運転が目玉であるクルマがテスラ社の売りでもある。
そんな被告人が乗っていたモデルXだが、自動運転の段階としては掲載表における「レベル2」に該当し、ちなみにレベル3以上は現在、日本の公道では走行が許されていない状況である。
テスラ社のHPではモデルXを〈史上最高の安全性と性能を持ち〉、〈ほとんどの状況下で作動する将来の完全自動運転に対応するハードウェアが搭載されています〉と紹介しており、今回事故を起こした車両は、自動緊急ブレーキや、正面衝突警告システムに加え、「トラフィックアウェアクルーズコントロール」なる前方の車両と一定の車間距離を保ち、自動で追従走行する機能が作動する設定となっていた。
被告人側の主張は、事故当時に居眠りをしていることは認めており、事故を起こす直前までは居眠り運転でありながらクルーズコントロール機能によって安全に運転されていた。
ただ、事故の2秒前にこの機能が故障し、前方の障害物を認識しないまま自動ブレーキも警告システムも全く作動せず加速する「暴走」状態に陥いり、被告人はアクセルもブレーキも踏んでいない状態で、被告人が起きていたとしてもシステムの故障が原因なので、事故は回避できなかったという状況から無罪を主張していた。
約2年にわたる裁判の結果は
交通事故で3人を死傷させたとして自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪で起訴され、「乗っていた車の運転支援システムが故障していたのが原因だ」などと無罪を訴えた被告に対し、横浜地裁は31日、禁錮3年執行猶予5年(求刑禁錮3年)の判決を言い渡した。
田村政喜裁判長は「運転支援システムが搭載されていても、前方を注視して運転をすべきだ」と指摘した。
判決は「(被告の車が前方の車両を検知せず加速した理由は)システムの故障か機能の限界かは判然としない」とした。一方で、事故直前、伊藤被告が前方注視が困難なほど強い眠気に襲われていたと認定し運転中に眠気を覚えた場合は運転中止義務があるとし、「中止義務に違反した被告の過失は相応に重い」と指摘した。
有罪判決にはなったが、執行猶予付きの判決なのでこれは遺族の悲しみが晴れた結果とは到底思えませんね。
さいごに
米テスラ社のクルマは、これまで自動運転による事故を起こした過去が発生している。
今の世の中、技術が進んでいるとはいえこの様な事故がクルマのせいか人間のせいか難しい部分ではあるが、今回のモデルXに搭載されている自動運転レベルは2だったので、システムエラーを起こした主張をする以前にこのレベルでは、居眠りをしたりするのはシステムが追い付いていかない状況なので、裁判長が言う「運転支援システムが搭載されていても、前方を注視して運転をすべきだ」が全てだと思う。
今後、自動運転レベルが高くなっていき仮眠やよそ見などしても大丈夫なレベルまで行くことは考えれるが、やはり初期段階ではあるのでしっかりと気を付けて、さらにはクルマが持つ力を乗る人が把握して取り扱わなければならないだろう。
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