「このクルマは『ボディ剛性』が高く、しっかりした走りだ」なんて言葉を、動画や記事などで見たことがあるだろう。
この「ボディ剛性」が高いと、クルマの走りにどういったメリットがあるのか?または、ボディ剛性が高まることによって、デメリットはでないのか?
ボディ剛性を高めるとなると、大掛かりのカスタムになるのでは?意外と高価なパーツもありそうで、中々「ボディ補強」まで手が回らないよ。と感じている方もいらっしゃると思います。
もちろん、突き詰めていけば高価なパーツや施工に向けて長く時間が掛かってしまうこともあるだろうが、お手軽に出来て、効果高いボディ補強パーツもあることをぜひ知って欲しいです。
今回は、ボディ補強に関するメリット・デメリット、ボディ補強パーツにはどのようなものがあるのか、ご紹介します。
カーセンサーnetそもそも、ボディ剛性とはどういったものなのか?
ボディ剛性という言葉はなんとなく聞いたことがあるが、実際にどういうものか?
ボディ剛性とは、『車体骨格のたわみにくさ』を表し、走行に対する必要な『ボディ強度』のことを指します。
ボディ強度というと、衝突事故時における衝突安全性の良し悪しに関わる事とも考えられますが、あくまで『ボディ剛性』とは、『走り』に対してのボディの強さを表します。
ボディ剛性が高い事で得られるメリットは?
ボディ剛性が高いことで、ボディに入力があったときにボディの変形する量が少なくなります。
これは、ステアリングを切った時や段差を乗り越える時などに、ボディの歪みが発生するのだが、ボディ剛性が低いことによりドライバーの操作に対し、クルマの歪みが強くなることでクルマ自体の動きが遅れてしまい、ドライバにーとってはこの遅れが「違和感」を感じてしまい、不安感につながってしまいます。
つまり、ボディ剛性が高ければ高いほど、サスペンションをしっかりと動かすことが出来るので、乗り心地や直進安定性の向上、ステアリングのレスポンスも上がるため、クルマを「正確に動かせる」ようになるのです。
ボディ剛性の高いクルマの特徴とは
クルマの歪みが少ない
クルマの歪みが少ない=ボディの耐久性が高いことになります。
ボディ剛性が低いと、長く乗り続けることによりボディに歪みが生じ、ドアの締まりが悪くなり、最悪の場合はドアが閉まらなくなる事象が起きるほどでした。
しかし、現在のクルマでは基本的なボディ剛性はが高いため、乗れなくなるほどボディが歪んでしまうケースは稀となっています。
乗り心地が良い
同じ硬さのサスペンションを装着した場合、ボディ剛性の高い方がサスペンションの反発力によるボディの歪み量が少なくなるため、サスペンションは柔らかく感じられるようになることから、乗り心地が良くなります。
静粛性の向上
ボディの歪みが少ないことで、ドアとボディパネルの隙間を小さく作ることができるので、ボディ周辺を流れる空気の流れが乱れないことで「風切り音」が少なく、車内の静粛性が向上します。
コーナリング性能の向上
ボディ剛性が高いほど、コーナリング時におけるクルマの姿勢変化を最小限に抑える事ができるため、ドライバーの意のままの旋回が可能となります。
また、コーナリング中に路面のギャップに乗り上げても、破綻せずに安定したコーナリングが可能となります。
タイヤのグリップ力や、直進安定性の向上
ボディ剛性が高いと、ボディの歪みによるタイヤ位置やホイールアライメントの変化が起きづらいため、タイヤがサスペンション設計どおりに接地してくれます。
よって、タイヤグリップを有効に使えることができ、トラクション性能や直進安定性が増します。
ボディ補強は様々なパーツが有る
ボディ剛性を高めるためには、様々な方法があります。
お手軽に出来るものから、レーシングカーさながらのボディ補強までお話します。
ストラットタワーバー
ストラットタワーバー、またはタワーバーはボディ補強パーツの中でもお手軽で効果の感じやすく、ボディ補強パーツの入門的なパーツと言えるでしょう。
サスペンションを固定している部分をストラットタワーと呼びますが、ここは前輪に直結しているので路面からの衝撃を最も受けやすい部分となっています。
この部分が変形すると、ハンドリングへの影響が出るため、タワーバーと呼ばれる金属製のパーツを取り付け、左右のストラットタワーの変形を抑えることがボディ剛性補強でもポピュラーな方法となります。
筆者も、愛車のフォレスターにタワーバーを取り付けているので、安価で効果の感じやすいパーツで満足度は高いです。
愛車のフォレスターにStiのフレキシブルタワーバーを装着した記事はこちらから
ロアアームバー
ロアアームとは、タイヤとサスペンション部品と車体をつなぐ役割を持っている重要な部品となっています。
走行中にタイヤが路面から受ける衝撃を緩和するサスペンションの土台となり、振動吸収はもちろんのこと、コーナリング中の左右方向の力や、加減速時の前後方向の力を受け止める構造になっています。
このロアアームの左右を、追加でバーを装着することにより横方向の剛性を高め、コーナーリング時のアライメントの変化がなくなるため回転性が良くなる効果が得られます。
ストラットタワーバー同様、安価で効果の高いパーツと言えるだろう。
ロールケージ・ロールバー
ロールケージやロールバーも、一般的なボディ補強と言えますが、より本格的なボディ補強となってきます。
車内全体を覆うような形で、ジャングルジムのように鉄の棒を張り巡らせることでボディ剛性と安全性の両方を高める効果があります。
ロールケージ、ロールバーがボディ剛性に一番寄与しているのは、ドアやトランクといった開口部を小さくするところに効果があります。
ボディスポット増し
ボディの一部分ではなく全体の剛性を一気に高めることができる「ボディスポット増し」は、レースカーに採用されることが多い本格的なボディ補強です。
クルマのボディのつなぎ目にはスポット溶接がされていますが、このスポット溶接の点数を増やすことでボディ剛性を高める方法になります。
外装パーツや内装パーツのほとんどすべてを取り外して施工する必要があるため費用は高価で手間もかかりますが、格段に効果のあるボディ補強と言える。
ボディ補強をした際のデメリットとは
ここまで、ボディ補強のメリットについて話してきましたが、やはりデメリットも考えられます。
こちらにも注意をして、ボディ補強をしていければと思います。
事故を起こした際のボディへのダメージが増える
タワーバーやロアアームバー、ロールケージ・ロールバーといった金属の棒を追加するタイプでは、ボディが受けた衝撃をほかの部分にも伝えてしまうということが一番のネックとなります。
ボディ側面からどちらかに加わった衝撃をもう片方に伝えてしまうので、本来片側だけのダメージだけで済んだものが、反対側にもダメージを与えてしまいます。
ボディの寿命を縮める原因になってしまう
スポット増しなどのボディ補強では、ボディの補強が増えた分、ボディの弱い部分に力が集中してしまうことで、ボディの寿命を縮めてしまいかねません。
レーシングカーのような、期間が決められた中で走る個体では良いかもしれませんが、自家用車としてスポット増しなどのボディ補強をする際は、それなりの覚悟が必要かもしれない。
さいごに
気軽に行えるボディ補強から、本格的なボディ補強パーツまでご自身の求めているレベルに合わせてできることも魅力的なのがボディ補強ですね。
タワーバーや、ロアアームバーなどの安価で取り付け自体も安易なパーツでも、しっかりと効果を感じられるパーツから、ロールケージやロールバー、スポット増しなどのレーシングカーに採用されているものまで、様々な方法があるのがわかりました。
途中でもお話した、筆者のフォレスターにもタワーバーを装着していますが、走りの安定や旋回性能、レスポンスなどの向上が体感できました。
安価で、その気になればDIYでも装着できるパーツなのでおすすめです。
ご自身のクルマがワンランク上の動きをするようになるボディ補強なので、お試しあれ。
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