ホンダS660(エスロクロクマル)3BA-JW5型は、1996年に販売を終了したビート以来、約19年ぶりに復活した軽規格の2シーターオープンスポーツカーである。駆動方式には、ミッドシップエンジン・リアドライブ(MR)レイアウトを採用し、高い旋回性能にこだわっている。
手軽にオープンエアドライビングを楽しめるように、ソフトトップには脱着式のロールトップを装備している。また、オープン走行を一年中楽しめるように、腿から腰にかけて風を送り込めるエアコンを搭載するなど、快適にオープンドライビングを楽しめる工夫が凝らしてある。
以前、ラインアップされていたビートと同じジャンルのクルマであるが、このS660にはビートのリメイクが一切されていない。
全くの新しいコンセプトにあるS660についてお伝えする。
ホンダS660の価格は
α | 232万1,000円 | 6MT・CVT |
β | 203万1,700円 | 6MT・CVT |
開放感あふれるオープンボディと、限られたサイズ制約の中で走りにこだわるMRレイアウト
ホンダS660は、突き抜ける弾丸のような高密度で塊感のある、フォルムでコンパクトでありながら高い運動性能を予感させるシルエットが特徴的だ。さらに、高い旋回性能が得られる低重心・低慣性のMR(ミッドシップエンジン・リアドライブ)を融合し、走る・操る・曲がる。といったドライブの楽しみを思う存分引き出している。
実際に街中で、目にかかるシーンは少ないが、やはり見た時のスポーティ感は高い。
エンジンには、高回転型のエンジンS07型を採用し、専用設計のターボチャージャーを組み込み低・中速域での力強さを絞り出すとともに、優れたアクセルレスポンスを実現した。
軽自動車という規格の中で、MRレイアウトは走りに特化するためのものであり、メーカーの本気度が伺える。
採用されているトランスミッションは、6MTとCVTでありあらゆる人に走る歓びを感じれるように設定している。6MTは、低中速域で好みのシフトポジションでスポーツ走行ができるほか、高速巡行時での快適性を獲得するために専用チューニングが施されている。
CVTには、アクセルペダル操作に対してよりダイレクトな走りを実現する専用セッティングを実行しさらにMT感覚のシフトチェンジを楽しめるパドルシフトを採用し、ドライバーの意のままに走りを楽しめる。
CVTモデルには、SPORTスイッチを搭載しONにすると、より素早いアクセル操作に応える俊敏なレスポンスが得られひときわダイレクト感の高い走りを実現している。
メーターの照明も赤色基調に変化し、走りへの高揚感をうむ
高い運動性能をしっかりと受け止める、ブレーキスステムには前後φ260mmの大径ディスクブレーキを採用し、ブレーキ操作のごく初期から素早い制動力が高まる鋭いレスポンスが感じられるとともに、踏力をコントロールしやすい剛性感の高いブレーキフィールも実現させている。
高い、運動性能あってもしっかり止まるというブレーキ性能は、かなり重要であると思う。
ホンダS660の燃費は
WLTCモード | 20.6km/L(6MT) | α、β共通 |
WLTCモード | 20.0km/L(CVT) | α、β共通 |
日常から気軽にオープンエアの気持ちよさを感じられる、S660のオープン時の快適装備
ホンダS660のルーフには、オープンにしやすく簡単にまとめられるように工夫がされている。
ルーフが閉じているときはルーフの前方の中央部に設けたセンターロックと、左右のルーフサイドのサイドロックにより、装着時には強いテンションがかかる構造で高い密閉性を確保している。
取り外し時には各ロックを解除して巻き取り、ボンネットフード内のユーティリティボックスに収納できる。
外したルーフトップを、かさばらないように収納できるスペースを設けているのも便利ですね。
寒い日でも、快適なオープンドライブを楽しめるように、運転席と助手席にシートヒーターを備え座面や背面を温める。温度は2段階の調節が可能で、その日に合った快適な温度調整ができる。
専用のフルオートエアコンには、足元や上半身に向かって送風する一般的なクルマと同様のエアコンモードに加えて、夏場の強い日差しを受け冬場には寒さを強く感じる腿、腰、腹部周辺へ集中的に送風するミッドモードを設定し、日本特有の四季折々をS660と共に感じられる。
予防安全性能に惜しみなく先進技術を取り込み、衝突安全性能にもこだわりの造りを
ホンダS660には、渋滞中などで前のクルマとぶつかりそうになると、回避を支援するシティーブレーキアクティブシステム(低速域衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能)を設定し、約30km/h以下での前方車両との衝突の回避・軽減を自動(衝突軽減)ブレーキで支援する。
さらに、停車時から前方に障害物がある状況で、アクセルペダルを踏みこんだ場合は急発進の防止を支援する機能も備えている。
もはや、こういった安全機能はマストですね。
S660に採用される、衝突安全設計ボディーにはG-CONが採用されている。一般的に、ボディーに余計な曲がりがあるとそこに応力が集中してしまい、それを補おうとすれば板厚を増すこととなり重量増を招く。そのため、曲げる必要のある箇所は大きな曲率で設計し、スムーズな線・面構成が可能となった。
全体の素材には、60%以上にハイテン材(高張力鋼板)を採用し、強さと軽さを徹底的に磨き上げた。
搭載される、エアバッグには渦巻き状に縫われた糸を切りながら早く、長く、優しく膨らむホンダ独自の「連続容量変化タイプ」を採用した。サイドエアバッグにも「容量変化タイプ」を採用し、乗員の衝撃をやわらげながら効果的に保護する。
エアバッグにも、こだわった造りを実現し乗員を安全に守る。
発売開始から5年経ったS660が直近で行ったマイナーチェンジにより、より精悍なデザインに
2020年1月10日にマイナーモデルチェンジを行い、外観においてAピラーをボディ同色にし、フェンダーのサイドマーカーをドアミラーウィンカーに変更するとともに、ヘッドライト・サブリフレクター・リアコンビネーションランプ・インナーレンズの色、フロントグリル、アルミホイールのデザインを変更した。
αグレードには、アクセサリーライトが追加され、内装にはステアリングやシフトノブの表皮にアルカンターラを採用し、高級スポーツカーライクな造りにした。
さらには、選べるカラーリングにも新色を追加しユーザーの好みに合わせられるようになった。
S660は、低い重心高と45:55の理想的な前後重量配分を実現し、走りに磨きをかける基本設計からボディやエンジン、シャシーに至るまでの設計をピュアスポーツにまとめている。
ヒール&トゥをしやすいペダルレイアウトから、操作性を突き止めたステアリングホイールの形状、専用の足回りなど、走りに供するモノに一切の妥協を許さない造り。
この様に、ホンダS660は高い走行性能を持ち合わせた、軽スーパーカーといったところだろう。
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