「車のリコール」とは、自動車メーカーが製造・販売した車両に、安全や環境に関わる不具合や設計上の問題が発覚した際に、その不具合を無償で修理・改善するために実施する制度のことです。
リコールは、国土交通省に届け出がなされ、公的に発表される仕組みとなっており、対象車の所有者には通知が送付されます。
2025年10月分のリコール情報、改善対策届出一覧をお伝えします。
 - 2025年10月のリコール届出情報(国産車)
 - 2025年10月のリコール届出情報(輸入車)
- フィアット 600 他 計2型式 計2車種を対象(2日)
 - プジョー 2008 他 計10型式 計9車種を対象(2日)
 - テスラ Model Y 計2型式 計1車種を対象(8日)
 - スカニア スカニア(LPGRSシリーズトラック) 計1型式 計1車種を対象(8日)
 - フィアット デュカト 計1型式 計1車種を対象(9日)
 - BMW BMW X3 20d xDrive 計1型式 計1車種を対象(16日)
 - メルセデス・ ベンツ メルセデスAMG G63 計2型式 計1車種を対象(16日)
 - メルセデス・ベンツ GLC220d 4MATIC 他 計15型式 計12車種を対象(16日)
 - ジープ グランドチェロキー 他 計5型式 計2車種を対象(23日)
 - フィアット ドブロ 計2型式 計1車種を対象(23日)
 - スカニア スカニア(LPGRSシリーズトラック) 計1型式 計1車種を対象(27日)
 - フォルクスワーゲン ティグアン 1.5 TSI 他 計5型式 計5車種を対象(30日)
 - ポルシェ Panamera 他 計8型式 計7車種を対象(30日)
 
 - 2025年10月の改善対策届出情報(国産車)
 - 2025年10月の改善対策届出情報(輸入車)
 - さいごに
 
2025年10月のリコール届出情報(国産車)
昭信 3S-FSC1000TLG 他 計1型式 計4車種を対象(1日)

・不具合の部位(部品名)
電気装置(スタータスイッチ)
・状況及びその原因
農業用薬剤散布車のスタータスイッチにおいて、電気回路の設計検討が不適切なため、電装品の作動状況により、スタータスイッチに過電流が流れることがある。
そのため、スタータスイッチ内部の樹脂が溶け、接点の接触不良が生じ、最悪の場合、エンジンが停止し、再始動できなくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、スタータスイッチを新品に交換するとともに、ハーネスを点検し、対策品のハーネスを追加して電気回路を変更する。
昭信 3S-FSC1000TLG 他 計1型式 計4車種のリコール届出一覧表
昭信 3S-FSC1000TLG 他 計1型式 計4車種の改善箇所説明図
ホンダ ベンリィeI 計1型式 計1車種を対象(9日)

・不具合の部位(部品名)
電気配線(メインハーネス)
・状況及びその原因
電気配線において、フレーム溶接時のスパッタ※除去指示が不適切なため、メインハーネスの通線部にスパッタが残留しているものがある。
そのため、当該ハーネスがスパッタと干渉し、そのまま使用を続けると、電線の被覆が摩耗し、芯線が露出して短絡すると、前照灯、方向指示器、速度計等の作動不良や走行不能となるおそれがある。
※溶接作業中に発生した金属粒子等がフレームに付着したもの
・改善措置の内容
全車両、メインハーネスの損傷を点検し保護材(グロメット等)を追加する。また、メインハーネスが損傷している場合は対策品と交換する。
ホンダ ベンリィeI 計1型式 計1車種のリコール届出一覧表
三菱 ふそうエアロエース 他 計9型式 計3車種を対象(9日)
・不具合の部位(部品名)
車体装置(左側ミラーステー)
・状況及びその原因
手動格納式左側ミラーにおいて、評価方法の検討が不十分のため、走行時の振動等により手動格納式ユニットのユニットフランジ部に亀裂が生じることがある。
そのため、そのままの状態で使用を続けると亀裂が進展して、最悪の場合、ミラーが脱落するおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、手動格納ユニット、ミラー側ステー、およびこれらの締結用部品を対策品に交換する。
三菱 ふそうエアロエース 他 計9型式 計3車種のリコール届出一覧表
三菱 ふそうエアロエース 他 計9型式 計3車種の改善箇所説明図
ホンダ CB1000 HORNET 他 計1型式 計2車種を対象(23日)

・不具合の部位(部品名)
操縦装置(ギヤチェンジペダルピボットボルト)
・状況及びその原因
ギヤチェンジペダルにおいて、ピボットボルト締付け座面の塗装指示が不適切なため、当該座面の塗装が厚いものがある。
そのため、排気管の触媒コンバータの熱により塗装が変形するとボルトが緩み、変速操作を繰り返すと、ボルトが脱落しチェンジペダルが外れて変速操作ができなくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、ピボットボルト締付け座面の塗装を除去し、ピボットボルトを対策品と交換する。
ホンダ CB1000 HORNET 他 計1型式 計2車種のリコール届出一覧表
ホンダ CB1000 HORNET 他 計1型式 計2車種の改善箇所説明図
トヨタ ヴォクシー 他 計96型式 計42車種を対象(30日)

・不具合の部位(部品名)
その他(パノラミックビューモニター用制御コンピュータ)
・状況及びその原因
パノラミックビューモニターにおいて、制御プログラムの検討が不十分なため、始動直後に後退する等の操作を行うと、車両周辺の映像がずれたり、一時的に停止または映らなくなることがある。
そのため、保安基準に適合しないおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、パノラミックビューモニター用制御コンピュータのプログラムを対策仕様に修正する。
トヨタ ヴォクシー 他 計96型式 計42車種のリコール届出一覧表
トヨタ ヴォクシー 他 計96型式 計42車種の改善箇所説明図
 2025年10月のリコール届出情報(輸入車)
フィアット 600 他 計2型式 計2車種を対象(2日)

・不具合の部位(部品名)
車内情報システム(制御モジュール)
・状況及びその原因
車内情報システム(速度計、ナビゲーション、オーディオ等の統合システム)において、制御プログラムが不適切なため、タッチスクリーンとメータークラスター(速度計)が消灯し、速度の確認が出来なくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、車内情報システムの制御プログラムを対策仕様に更新する。なお、改善のためのプログラムの書き換えは、対象車両へ遠隔配信にて配信し、使用者自身でインストールしてもらう。
フィアット 600 他 計2型式 計2車種のリコール届出一覧表
プジョー 2008 他 計10型式 計9車種を対象(2日)

・不具合の部位(部品名)
車内情報システム(制御モジュール)
・状況及びその原因
車内情報システム(速度計、ナビゲーション、オーディオ等の統合システム)において、制御プログラムが不適切なため、タッチスクリーンとメータークラスター(速度計)が消灯し、速度の確認が出来なくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、車内情報システムの制御プログラムを対策仕様に更新する。なお、改善のためのプログラムの書き換えは、対象車両へ遠隔配信にて配信し、使用者自身でインストールしてもらう。
プジョー 2008 他 計10型式 計9車種のリコール届出一覧表
プジョー 2008 他 計10型式 計9車種の改善箇所説明図
テスラ Model Y 計2型式 計1車種を対象(8日)

・不具合の部位(部品名)
ボディコントローラモジュール(制御プログラム)
・状況及びその原因
右側のボディコントローラモジュールにおいて、設計検討が不十分なため、運転席側パワーウィンドウの制御プログラムが不適切なものがある。
そのため、指を挟んだ際等に、挟み込み防止機能が正常に作動せず、保安基準に適合しないおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、OTAにより、当該プログラムを対策プログラムに書き換える。
テスラ Model Y 計2型式 計1車種のリコール届出一覧表
スカニア スカニア(LPGRSシリーズトラック) 計1型式 計1車種を対象(8日)
・不具合の部位(部品名)
灯火器(昼間走行灯・車幅灯)
・状況及びその原因
前照灯ユニットにおいて、設計検討が不十分なため、LED構造自体で発生する熱の影響等により内部の構成部品が通常よりも早く劣化することがある。
そのため、連続使用により内部の構成部品が熱損し、昼間走行灯及び車幅灯の照度が低下して灯光の色が変化するおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、前照灯ユニット内部を点検し、昼間走行灯及び車幅灯の構成部品が劣化している場合は、当該ユニット一式を対策品に交換する。
劣化していない場合は内部の構成部品のみ対策品に交換する。
スカニア スカニア(LPGRSシリーズトラック) 計1型式 計1車種のリコール届出一覧表
スカニア スカニア(LPGRSシリーズトラック) 計1型式 計1車種の改善箇所説明図
フィアット デュカト 計1型式 計1車種を対象(9日)

・不具合の部位(部品名)
前方障害物衝突軽減制動装置(フロントカメラ)
・状況及びその原因
衝突被害軽減ブレーキにおいて、フロントカメラに内蔵されている制御プログラムの設計検討が不十分なため、特定の操作を行うと前方衝突の危険を検知しても、警報音が吹鳴せず、衝突被害軽減ブレーキが作動しない。
・改善措置の内容
全車両、フロントカメラの制御プログラムを対策仕様に更新する。
フィアット デュカト 計1型式 計1車種のリコール届出一覧表
BMW BMW X3 20d xDrive 計1型式 計1車種を対象(16日)

・不具合の部位(部品名)
充電装置(スタータージェネレーター)
・状況及びその原因
スタータージェネレーターのB端子において、製造管理が不適切なため、スリーブとリードフレーム間に隙間が生じているものがある。
そのため、接続が緩み抵抗値が増加しB端子が異常過熱して警告灯が点灯し、最悪の場合、火災に至るおそれがある。
または、走行中にエンジンが停止して走行不能となるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、良品のスタータージェネレーターへ交換する。また、スタータージェネレーターのB端子とB+ケーブル締結部を点検して、必要に応じてB+ケーブルを交換する。
BMW BMW X3 20d xDrive 計1型式 計1車種のリコール届出一覧表
BMW BMW X3 20d xDrive 計1型式 計1車種の改善箇所説明図
メルセデス・ ベンツ メルセデスAMG G63 計2型式 計1車種を対象(16日)

・不具合の部位(部品名)
原動機(エンジンコントロールユニット)
・状況及びその原因
エンジンコントロールユニットにおいて、制御プログラムが不適切なため、触媒の劣化が適切に検出されないことがある。
そのため、正しくエンジン警告灯(MIL)が点灯せず、保安基準に適合しないおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、エンジンコントロールユニットの制御プログラムを対策された制御プログラムに書き換える。
メルセデス・ ベンツ メルセデスAMG G63 計2型式 計1車種のリコール届出一覧表
メルセデス・ ベンツ メルセデスAMG G63 計2型式 計1車種の改善箇所説明図
メルセデス・ベンツ GLC220d 4MATIC 他 計15型式 計12車種を対象(16日)

・不具合の部位(部品名)
操舵装置(ステアリングカップリング)
・状況及びその原因
ステアリングカップリングにおいて、製造管理が不適切なため、ステアリングカップリングを固定するボルトが適切に締め付けられていない可能性がある。
そのため、使用過程で当該ボルトが緩み脱落することでステアリングホイールとステアリングギアの機械的結合が外れ、最悪の場合、操舵できなくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、ステアリングカップリングを固定するボルトを規定トルクで締め付けなおす。
メルセデス・ベンツ GLC220d 4MATIC 他 計15型式 計12車種のリコール届出一覧表
メルセデス・ベンツ GLC220d 4MATIC 他 計15型式 計12車種の改善箇所説明図
ジープ グランドチェロキー 他 計5型式 計2車種を対象(23日)

・不具合の部位(部品名)
電気装置(エアコンブロワーモーター)
・状況及びその原因
エアコンブロワーモーターにおいて、製造工程が不適切なため、コネクター内部のピンが適正位置に組み付けられていないものがある。
そのため、当該コネクターの接続不良によりブロワーモーターが作動せず、デフロスタが機能しないため、保安基準に適合しないおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、当該コネクターを確認し、コネクターピンに異常がある場合はブロワーモーターを新品に交換する。
ジープ グランドチェロキー 他 計5型式 計2車種のリコール届出一覧表
ジープ グランドチェロキー 他 計5型式 計2車種の改善箇所説明図
フィアット ドブロ 計2型式 計1車種を対象(23日)

・不具合の部位(部品名)
車内情報システム(制御モジュール)
・状況及びその原因
車内情報システム(速度計、ナビゲーション、オーディオ等の統合システム)において、制御プログラムが不適切なため、タッチスクリーンとメータークラスター(速度計)が消灯し、速度の確認が出来なくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、車内情報システムの制御プログラムを対策仕様に更新する。
スカニア スカニア(LPGRSシリーズトラック) 計1型式 計1車種を対象(27日)
・不具合の部位(部品名)
原動機(エンジン制御ユニット)
・状況及びその原因
エンジン制御ユニットにおいて、設計検討が不十分なため、走行距離が多くなると燃料高圧ポンプ内の油圧制御バルブが固着することがある。
そのため、燃料噴射量が不足し、エンジンの出力が不安定となり、クラッチ滑りが発生するほか、最悪の場合、エンジンが再始動できなくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、当該ユニットを対策プログラムに更新し、燃料高圧ポンプ内部の油圧制御バルブの固着が発生しないよう、ブースト電流を増加させるプログラムに変更を行う。
スカニア スカニア(LPGRSシリーズトラック) 計1型式 計1車種のリコール届出一覧表
スカニア スカニア(LPGRSシリーズトラック) 計1型式 計1車種の改善箇所説明図
フォルクスワーゲン ティグアン 1.5 TSI 他 計5型式 計5車種を対象(30日)

・不具合の部位(部品名)
制動装置(電気式ブレーキ倍力装置)
・状況及びその原因
電気式ブレーキ倍力装置のコントロールユニットにおいて、制御プログラムの検討が不十分なため、トラベルアシスト(※1)が作動中にステアリングホイールから手を放したことを一定時間検知すると、システムが行う短いブレーキ操作を、運転者が行うブレーキ操作と誤検知し、トラベルアシストが無効化されることがある。
そのため、運転者が運転不能になった場合に、トラベルアシストからエマージェンシーアシスト(※2)へ切替えが行われず、運転者に対する警告音を吹鳴せず、保安基準に適合しない。
(※1)トラベルアシスト:アクセル、ブレーキ、ステアリング操作をサポートする運転支援システム
(※2)エマージェンシーアシスト:運転者が運転不能な状態に陥った場合に自動的に車両を安全に停止させる緊急時停車支援システム
・改善措置の内容
全車両、電気式ブレーキ倍力装置のコントロールユニットを対策プログラムに書き換える。
なお、それに伴い、他システムとの通信確認や制御ロジックの再調整等を行う。
フォルクスワーゲン ティグアン 1.5 TSI 他 計5型式 計5車種のリコール届出一覧表
フォルクスワーゲン ティグアン 1.5 TSI 他 計5型式 計5車種の改善箇所説明図
ポルシェ Panamera 他 計8型式 計7車種を対象(30日)

・不具合の部位(部品名)
乗員保護装置(エアバッグコントロールユニット)
・状況及びその原因
右ハンドル仕様車のエアバッグコントロールユニットのソフトウエアにおいて、製造工程が不適切なため、左ハンドル仕様のドアプレッシャーセンサー識別プログラムとなっている。
そのため、側面からの衝撃に対して運転席および助手席のサイドエアバッグ信号が正常に処理されず、意図したエアバッグの展開が行われないことがあり、最悪の場合、乗員が負傷するおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、エアバッグコントロールユニットのソフトウエアを、右ハンドル仕様のプログラムに書き換える。
ポルシェ Panamera 他 計8型式 計7車種のリコール届出一覧表
ポルシェ Panamera 他 計8型式 計7車種の改善箇所説明図
2025年10月の改善対策届出情報(国産車)
該当なし
2025年10月の改善対策届出情報(輸入車)
該当なし
さいごに
以上が、2025年10月分のリコール及び改善対策届出情報についてまとめたものとなります。
対象となる車両をお持ちの方は、早めの対応をおすすめします。
リコール対象に限らず、日常の点検を怠らずに安全な状態で運行できるようにしましょう。
この記事の参照URL:https://renrakuda.mlit.go.jp/renrakuda/top.html

 
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