「車のリコール」とは、自動車メーカーが製造・販売した車両に、安全や環境に関わる不具合や設計上の問題が発覚した際に、その不具合を無償で修理・改善するために実施する制度のことです。
リコールは、国土交通省に届け出がなされ、公的に発表される仕組みとなっており、対象車の所有者には通知が送付されます。
2025年9月分のリコール情報、改善対策届出一覧をお伝えします。


2025年9月のリコール届出情報(国産車)
ホンダ CRF1100L Africa Twin 計3型式 計1車種を対象(4日)

・不具合の部位(部品名)
電気配線(左ハンドルスイッチハーネス)
・状況及びその原因
電気配線において、左ハンドルスイッチハーネス電線間の端子かしめが不適切なため、ハンドル転舵操作によるハーネスの摺動が繰り返されると、端子のかしめ部が摩耗することがある。
そのため、そのまま使用を続けると、かしめ部が酸化して抵抗値が高くなり、警音器が吹鳴しない、走行用前照灯が点灯しないおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、電線間に端子かしめがない左ハンドルスイッチハーネスの対策品と交換する。
なお、対策品の供給に時間を要することから、暫定措置として、左ハンドルスイッチハーネスの配索を変更し、部品準備が整い次第、改めて案内し対策品と交換する。
ホンダ CRF1100L Africa Twin 計3型式 計1車種のリコール届出一覧表
ホンダ CRF1100L Africa Twin 計3型式 計1車種の改善箇所説明図
トヨタ bZ4X 他 計6型式 計4車種を対象(4日)

・不具合の部位(部品名)
その他(エアコンアンプリファイア)
・状況及びその原因
エアコンシステムにおいて、関連部品が故障した際の制御プログラムの検討が不十分なため、特定の故障診断コードを検出すると、ヒータを停止する過度なフェールセーフ制御を行うことがある。
そのため、デフロスタの性能が低下して、前面ガラスの曇りや霜がとれにくくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、エアコンアンプリファイアのフェールセーフ制御プログラムを対策仕様に修正する。
トヨタ bZ4X 他 計6型式 計4車種のリコール届出一覧表
レクサス UX300e 他 計3型式 計2車種を対象(4日)

・不具合の部位(部品名)
視野確保装置(電気式水加熱ヒータ)
・状況及びその原因
電気式水加熱ヒータにおいて、ヒータ素子の設計検討が不十分なため、当該素子の耐久性が不足しているものがある。
そのため、そのまま使用を続けると、素子内部が損傷し、最悪の場合、ヒータ作動が停止しデフロスタの性能が低下して、
前面ガラスの曇りや霜がとれにくくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、電気式水加熱ヒータを対策品と交換する。
レクサス UX300e 他 計3型式 計2車種のリコール届出一覧表
レクサス UX300e 他 計3型式 計2車種の改善箇所説明図
UDトラックス クオン 計3型式 計1車種を対象(8日)
・不具合の部位(部品名)
巻込防止装置
・状況及びその原因
凍結防止剤散布車の巻込防止装置において、設計検討が不十分なため、強度が不足している。
そのため、そのまま使用を続けると、走行振動により破損するおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、左右の巻込防止装置に対策部品を追加する。
なお、当該部に損傷がある場合は新品に交換する。
UDトラックス クオン 計3型式 計1車種のリコール届出一覧表
ニッサン エクストレイル 計2型式 計1車種を対象(11日)

・不具合の部位(部品名)
電気装置(発電用モーター)
・状況及びその原因
e-POWER車の発電用モーターにおいて、ステータコアへの絶縁材(ワニス)塗布量管理が不適切なため、ワニスの塗布量が少ないものがある。
そのため、絶縁不良が発生し、絶縁不良により絶縁抵抗値が低下し、そのまま使用を続けると、e-POWERシステム警告灯の点灯及び、警告メッセージが表示され発電用モーターが発電を停止することで、EVバッテリーへ電源供給がされなくなり、走行できなくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、発電用モーターのシリアル番号を確認し、不具合対象であれば対策品に交換する。
ニッサン エクストレイル 計2型式 計1車種のリコール届出一覧表
ニッサン エクストレイル 計2型式 計1車種の改善箇所説明図
ホンダ シビック 計1型式 計1車種を対象(11日)

・不具合の部位(部品名)
事故情報計測・記録装置(エアバッグコントロールユニット)
・状況及びその原因
事故情報計測・記録装置において、事故時の情報を記録するプログラムが不適切なため、特定のドライビングモードで車両挙動安定化制御システムがオフ設定時に衝突事故が発生すると、当該装置に車両挙動安定化制御システムとトラクションコントロールシステムの情報が正しく記録されない。
そのため、保安基準に適合しない。
・改善措置の内容
全車両、エアバッグコントロールユニットを対策プログラムに書き換える。
なお、事故時の情報が記録されている場合は、エアバッグコントロールユニットを交換する。
トヨタ ヤリスクロス 他 計7型式 計2車種を対象(17日)

・不具合の部位(部品名)
その他(前方および側方カメラ)
・状況及びその原因
パノラミックビューモニターの前方および側方カメラにおいて、カメラ回路素子の製造工程の検討が不十分なため、素子内部に亀裂が生じているものがある。
そのため、使用過程で亀裂が進展して導通不良となり、車両の直左の映像が確認できず、保安基準に適合しないおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、当該カメラの製造番号を点検し、該当する場合は良品と交換する。
トヨタ ヤリスクロス 他 計7型式 計2車種のリコール届出一覧表
トヨタ ヤリスクロス 他 計7型式 計2車種の改善箇所説明図
マツダ ロードスター 計1型式 計1車種を対象(25日)

・不具合の部位(部品名)
燃料装置(フューエルパイプ)
・状況及びその原因
フューエルパイプにおいて、ブラケットによる保持力の管理値が不適切なため、保持力が低いものがある。
そのため、サーキット走行等でエンジン高回転域を繰り返し使用すると、振動によりフューエルパイプが共振して亀裂が生じ、そのまま使用を続けると燃料が漏れてエンジンが停止し、再始動できないおそれがある。
最悪の場合、火災に至るおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、フューエルパイプを対策品に交換する。なお、交換部品の準備に時間を要することから、準備ができ次第、改めて案内する。
マツダ ロードスター 計1型式 計1車種のリコール届出一覧表


2025年9月のリコール届出情報(輸入車)
MINI MINI Cooper C 他 計4型式 計4車種を対象(4日)

・不具合の部位(部品名)
窓ふき器
・状況及びその原因
フロントウィンドウのワイパーにおいて、製造が不適切なため、ワイパーモーターワイヤーハーネスの取り回しが正しくないものがある。
そのため、使用過程で当該ハーネスがワイパーリンケージに干渉することにより、当該ハーネスが損傷して警告灯が点灯、発煙し、拭き取り機能が損なわれるおそれがある。
また、ごく稀に、エンジンが始動出来なくなる等のおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、ワイパーモーターワイヤーハーネスを点検し、必要に応じて修正する。
また、当該ハーネスが損傷している場合、ベーシックセントラルプラットフォーム(BCP)も交換する。
MINI MINI Cooper C 他 計4型式 計4車種のリコール届出一覧表
MINI MINI Cooper C 他 計4型式 計4車種の改善箇所説明図
シトロエン ベルランゴ 他 計4型式 計2車種を対象(4日)

・不具合の部位(部品名)
車内情報システム(制御モジュール)
・状況及びその原因
車内情報システム(速度計、ナビゲーション、オーディオ等の統合システム)において、制御プログラムが不適切なため、タッチスクリーンとメータークラスター(速度計)が消灯し、速度の確認が出来なくなるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、車内情報システムの制御プログラムを対策仕様に更新する。なお、改善のためのプログラムの書き換えは、対象車両へ遠隔配信にて配信し、使用者自身でインストールしてもらう。
シトロエン ベルランゴ 他 計4型式 計2車種のリコール届出一覧表
シトロエン ベルランゴ 他 計4型式 計2車種の改善箇所説明図
BMW BMW iX3 M Sport 他 計15型式 計13車種を対象(11日)

・不具合の部位(部品名)
駆動装置(電動制御ユニット)
・状況及びその原因
電動制御ユニットの高電圧システムの絶縁モニタリング機能において、設計検討が不十分なため、電動駆動ユニット内のブラシモジュールとベアリングシールド間に異物が付着して絶縁不良が発生した場合に、絶縁抵抗の異常箇所を正しく検知できないことがある。
そのため、回路全体に絶縁抵抗異常が発生していると誤認識することで、高電圧バッテリーシステムをシャットダウンして走行停止し、再始動できないおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、絶縁モニタリング機能のソフトウェアを対策プログラムに書き換える。
なお、上記措置は以下のいずれかにより行う。
販売店に入庫し、診断機に接続することにより実施する。
準備が整い次第、対象車両へ遠隔配信にて配信し、使用者自身でインストールする。
なお、ZAA-42DU44 のみソフトウェアの準備に時間を要することから、不具合内容を周知し、準備でき次第、改めて連絡する。
BMW BMW iX3 M Sport 他 計15型式 計13車種のリコール届出一覧表
BMW BMW iX3 M Sport 他 計15型式 計13車種の改善箇所説明図
ボルボ FH 計13型式 計1車種を対象(11日)

・不具合の部位(部品名)
側方衝突警報装置(左側方レーダ)
・状況及びその原因
側方衝突警報装置の左側方レーダにおいて、車幅の基準に合わせた移設に伴う検証が不十分なため、左側方レーダの固定ボルトが燃料タンクの端部に干渉しているものがある。
そのため、そのままの状態で使用を続けると、振動等により燃料タンクが損傷し、最悪の場合、燃料が漏れるおそれがあ
る。
・改善措置の内容
全車両、左側方レーダ固定ボルトと燃料タンクの隙間を点検し、十分な隙間がない場合は、固定ボルトにワッシャを追加、または燃料タンクの位置を調整する。
なお、深い傷跡が認められた場合は、燃料タンクを新品に交換する。
シボレー コルベット Z06 計1型式 計1車種を対象(18日)

・不具合の部位(部品名)
燃料装置(給油口)
・状況及びその原因
燃料タンクの給油口において、給油時にガソリンが大量に溢れ出た際に、気化したガソリンがエンジン冷却用ファンにより、ラジエーターに吸い込まれることがある。
そのため、ラジエーターが高温になっている場合、気化したガソリンがラジエーター表面に付着することにより、最悪の場合、火災に至るおそれがある。
・改善措置の内容
暫定措置として、全車両、給油時の注意喚起レターを送付し、対策が決定次第、恒久対策を実施する。
シボレー コルベット Z06 計1型式 計1車種のリコール届出一覧表
シボレー コルベット Z06 計1型式 計1車種の改善箇所説明図
マセラテイ グレカーレ 計3型式 計1車種を対象(24日)

・不具合の部位(部品名)
視野確保装置(セントラルビジョンパークアシストモジュール)
・状況及びその原因
セントラルビジョンパークアシストモジュール(CVPAM)のソフトウエアにおいて、設計検討が不十分なため、リアパーキングカメラを使用して駐車した直後に車両電源をオフすると、サラウンドビューカメラシステムの機能が停止することがある。
そのため、再始動時にメディア画面がブラックアウトまたはブルーアウトとなり、直前直左確認用のカメラ映像が表示されず、保安基準に適合しないおそれがある。
※セントラルビジョンパークアシストモジュール(CVPAM):車両前後左右のカメラにより上空から見た画像を合成表示し、前後バンパー内蔵の超音波センサーにより、障害物の有無を表示して駐車操作を支援する
・改善措置の内容
全車両、セントラルビジョンパークアシストモジュール(CVPAM)のソフトウエアを対策プログラムに書き替える。
マセラテイ グレカーレ 計3型式 計1車種のリコール届出一覧表
ランドローバー レンジローバーイヴォークPHEV 他 計3型式 計3車種を対象(26日)

・不具合の部位(部品名)
原動機(電動インバータコンバータコントロールモジュール)
・状況及びその原因
ハイブリッドシステムを制御する電動インバータコンバータコントロールモジュールの制御プログラムにおいて、設計検討が不十分なため、イグニッションスイッチをオフにしても完全なスリープ状態にならないことがある。
そのため、イグニッションスイッチをオンにしても、原動機が始動せずモーターでの走行モードとなり、そのまま走行を続けてハイブリッドバッテリーの容量がなくなった場合、走行不能となる。
・改善措置の内容
全車両、当該モジュール及び関連するモジュールのプログラムを対策プログラムに書き換える。
ランドローバー レンジローバーイヴォークPHEV 他 計3型式 計3車種のリコール届出一覧表
ランドローバー レンジローバーイヴォークPHEV 他 計3型式 計3車種の改善箇所説明図
トライアンフ デイトナ660 計1型式 計1車種を対象(29日)

・不具合の部位(部品名)
潤滑装置(エンジンオイル)
・状況及びその原因
原動機において、使用環境等に対する検討が不十分なため、急減速を繰り返すことにより、エンジン内でエンジンオイルが前方に偏り、油圧が低下することがある。
そのため、エンジン内部の潤滑が不足し、最悪の場合、エンジンが破損し、走行不能となるおそれがある。
・改善措置の内容
全車両、エンジンオイルを追加し、オイルレベルゲージを対策品に交換する。なお、エンジンを点検し、内部に損傷が発見された場合は、損傷状態に応じて交換する。
また、取扱説明書の追補版を配布する。
トライアンフ デイトナ660 計1型式 計1車種のリコール届出一覧表
トライアンフ デイトナ660 計1型式 計1車種の改善箇所説明図
2025年9月の改善対策届出情報(国産車)
該当なし
2025年9月の改善対策届出情報(輸入車)
該当なし
さいごに
以上が、2025年9月分のリコール及び改善対策届出情報についてまとめたものとなります。
対象となる車両をお持ちの方は、早めの対応をおすすめします。
リコール対象に限らず、日常の点検を怠らずに安全な状態で運行できるようにしましょう。
この記事の参照URL:https://renrakuda.mlit.go.jp/renrakuda/top.html
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