トヨタ MIRAI(ミライ)は2014年12月15日から販売される、世界初のセダン型燃料電池自動車の量産車である。
2015年1月15日には、市販第一号車となるMIRAIを首相官邸に納車しており、MIRAIの年間販売目標が400台なのに対し、発売開始より約一か月で大きく上回る約1,500台を受注している。
その経緯もあり、2016年には2,000台程度、2017年には3,000台程度に増産することを決めたのだった。
2018年には一部改良され、既存のプリクラッシュセーフティをはじめとする予防安全装備を「Toyota Safety Sense」へグレードアップさせ、より安全性能を高めた。
2020年4月6日には徳島県警察にパトカーとして導入した。
今回は、トヨタの燃料電池車であるMIRAIについてお伝えする。
MIRAIの価格は740万9,600円
燃料電池自動車の動力源となるトヨタフューエルセルシステム(TFCS)
トヨタ MIRAIは、燃料電池自動車となり現代ではメインとなっているエンジンを動力源としない。
それに代わるトヨタフューエルセルシステム(TFCS)を採用し、その中心に位置するトヨタ初の量産型燃料電池、「トヨタFCスタック」だ。
作り出すのはクルマを動かすための電気で、排出するのは水というパワフルかつクリーンな動力源となっている。
燃料電池自動車のパワートレインとなるTFCSは、トヨタがこれまでに培ってきたハイブリッド技術を基盤にし、燃料電池技術を融合し開発した。
FCスタックと駆動用バッテリーのふたつのエネルギー源を最適に使い分け、モーターを駆動しパワフルで高効率な走りを実現させる。
STEP1 | 酸素(空気)と高圧水素タンクの水素をFCスタックに送り込む |
STEP2 | 酸素と水素の化学反応により発電し、電気、そして水が生まれる |
STEP3 | モーターに送電し、クリーンでパワフルに走る。 |
水素が燃料という斬新なモノだが、扱いやすさはガソリン並みでガソリン以上のクリーンさ
MIRAIに使う燃料は、「水素」とこれまでに無い馴染みの薄いモノになるが、便利さはガソリン車とほぼ変わらず水素ステーションで一回当たりの水素充てん時間を3分程度とし、満充てん時での可能走行距離は約650kmと、そのままロングドライブに行けてしまう利便性も特徴である。
水素を燃料としているMIRAIは、ガソリンエンジンの化石燃料を燃焼し、エネルギーとなる過程でCO2を発生させてしまうのに対し、水素は炭素が含まれていないので走行時に排出されるCO2はゼロでとてもクリーンである。
また、万が一事故などの衝突時の衝撃やボディの変形からFCスタックや高圧水素タンクを守れるように高水準の衝突安全性を実現している。
①漏らさないための対策 | 強度と耐久性に優れた信頼性の高い高圧水素タンクの採用 |
②検知して止めるための対策 | 水素ディテクタと呼ばれる検知器を搭載し、万一の水素漏れを検知し水素漏れや衝突を検知したらタンクバルブを遮断(濃度が低い場合には警告)する。 |
③溜めにくい構造 | 水素系部品の車室買い配置により、水素が社外に拡散しやすい構造になっている。 |
MIRAIに備わっている便利機能と装備について
家庭用と同じAC100Vのコンセントを搭載
家庭用で主流となっているAC100V・1500Wのコンセントを、トランクルームの右側とセンターコンソール後面の車内2か所に設置している。
これにより、パソコンなどの電気製品にも対応し、もちろん走行中にも使用することが出来る。
他にも、アクセサリーソケット(DC12V・120W)をセンターコンソール後面に1個、設置している。
災害時などの停電時には大容量の電力を供給する
DCコンセント(CHAdeMO端子)は災害時などの停電時に、受託や電気製品に大出力の電力を供給することが可能となっている。
なお、持ち運びして電気製品に給電することも可能であり、トランクルームにあるDCコンセント(CHAdeMO端子)に接続することで車外で合計4500Wの電力を電気製品に給電することができる。
トランクルームに収納できるキャスター付きのトランクケースタイプとなっている。
最適なドライビングポジションを手軽に設定可能で、乗り降りもスムーズにサポート
運転席と助手席には8ウェイのパワーシートと電動ランバーサポート機能を持ち合わせ、乗る人の体格に合った最適なドライビングポジションの設定が可能となっている。
さらに、運転席には2名分のステアリング、シート、ドアミラーの最適ポジションを記憶するメモリーコール機能を設定しボタン一つで設定したポジションを呼び出しできる。
その他には、運転席にはパワーイージーアクセスシステムにより乗降時にステアリングのオートチルトアウェイ&リターン機能と連動し運転席が自動的にスライドしスムーズな乗り降りをサポートする。
Toyota Safety Sense搭載で、運転者と乗員を不安から守る
冒頭でも、お伝えしている通りMIRAIはToyota Safety Senseによる予防安全装備を充実させ、日常に潜む危険な状態を未然に防ぐ。
プリクラッシュセーフティ(歩行者[昼夜]・自転車運転者[昼]検知機能付衝突回避支援タイプ/ミリ波レーダー+単眼カメラ方式)
衝突の可能性をミリ波レーダーと単眼カメラにて検出し、警報ブザーとマルチインフォメーションディスプレイ表示により知らせ、ブレーキを踏めた場合は、プリクラッシュブレーキアシストを作動させる。
万が一、ブレーキを踏めなかった場合でもプリクラッシュブレーキを作動させ、衝突回避または被害軽減をサポートする。
日中では、前方の車両や歩行者に加え、自転車運転者を検知できるようになった。
夜間は、前方の車両のみならず歩行者の検知も可能となった。
インテリジェントクリアランスソナー(パーキングサポートブレーキ[静止物])
車庫入れなどの運転時、障害物の接近を表示とブザーで知らせる「クリアランスソナー」に、静止物との接触を緩和する機能を追加し、前後進行方向にあるガラスや壁などの障害物を検知している場合、発進時にモーター出力を抑制し、さらに距離が縮まると自動ブレーキが作動する(被害軽減)
前進時、後退時にもペダルの踏み間違いによる危険時にも、自動(被害軽減)ブレーキが作動し、衝突被害の軽減をサポートする。
ブラインドスポットモニター
車線変更時の後方から接近している車両をレーダーで検知し、車両が死角エリアに入るとドアミラーに搭載されたLEDインジケーターを点灯させ、その際にウインカーの操作を行うとLEDインジケーターが点滅し、運転者に注意喚起する。
レーンディパーチャーアラート(ステアリング制御機能付)
道路上の白線または黄線を単眼カメラで認識し、車線逸脱の可能性がある場合、ブザーとディスプレイ表示で注意喚起し、また電動パワーステアリングを制御し車線逸脱の回避もサポートする。
レーダークルーズコントロール(ブレーキ制御付)
ミリ波レーダーと単眼カメラで先行車を認識し、車速に応じた車間距離を保ちながら追従走行をサポートし運転者の運転負荷を軽減する。
ロードサインアシスト(RSA)
「車両進入禁止」や「一時停止」などの道路標識をカメラで認識してディスプレイ上に表示し、安全走行をサポートする。
オートマチックハイビーム(AHB)
ハイビームとロービームを自動切換えし、遠くまで照らせるハイビームでの走行頻度が高まり夜間走行時の視野の確保をサポートする。
なお自動切り替えのため、切り替え忘れも防げる。
カラーバックガイドモニター
車庫入れや縦列駐車の際、後退操作の参考になるガイドラインをナビ画面に表示するので安心して後退時をサポートする。
S-VSC
さまざまな状況下で優れた走行安定性・操縦性を確保するために、電動パワーステアリングとブレーキ制御および駆動力制御(TRC)機能を協調させるシステム。
先行車発進告知機能(TMN)
信号待ちや渋滞で先行車に続いて停止し、先行車の発進に気づいていない場合はブザーとマルチインフォメーションディスプレイ表示で運転者へお知らせする。
コネクティッドサービスにより、車両に対するサポート
コネクティッドサービスにより、様々なシーンにおける車両の状態などをサポートする。
水素ステーション情報の確認
水素ステーションAppsを使い、ナビで自車位置の近くにある水素ステーションを3つリストアップし、ナビ画面上に表示させ目的地の設定はもちろん、店舗情報等を確認できる。
FCシステム遠隔見守り
FCシステムにウォーニングが発生した場合ナビ画面に通知し、さらに販売店端末から車両状況を確認し、所有者にアドバイスを実施する「遠隔診断サポート」をしてくれる。
スマホアプリ「pocket MIRAI」
水素ステーションの店舗情報や現在の稼働状況のほかACCがOFFの状態で、水素残量・走行可能範囲・災害時に活用できる給電可能時間などができる機能を搭載させている。
収納スペースも大容量で旅行や趣味などにもゆとりのあるパッケージング
ラゲージルームには361Lと広大な容量を持ちフラットなデッキ面にゴルフバッグが3個収納可能となっている。
これには、パワーユニットを床下に配置したことで、ラゲージルームの容量を削らないように工夫されている。
MIRAIはその車名の通り未来のクルマだった
ここまで、MIRAIについてお伝えしてきたが既存のクルマとは全く概念が異なるのが分かる。
エクステリアデザインにも、これまでにあったクルマと一線を画しまさに未来のクルマなんだというクルマからの主張を感じるし、その通りガソリンではなく水素を燃料にしCO2排出ゼロにすることで環境への配慮がメインと言っていい程のコンセプト下にあると感じた。
これから、どんどんフルEV車やMIRAIのような水素を燃料としたクルマが環境問題を変えていく為に必要とされてくると思うので、今後もこの様な次世代のクルマが出てくることが楽しみだ。
しかし、今後の課題としてはインフラ整備の充実化だと思うので、徐々に改善していければ未来のクルマはMIRAIのようなクルマ社会になることだろう。
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