知らなかったでは済まされない。自転車の悪質な交通違反に「警告」から「赤キップ」になる取り締まりの強化へ

車の情報

クルマを運転していたり、または自転車に乗って走行している時などに、信号無視や一時不停止などを行う「悪質な運転をしている自転車」に遭遇したことは、誰もが1回は経験したことのある事案だろう。

最近でも、筆者がクルマで右折待ちをしていた際に、右折の矢印信号に変わったので、右折をした先の横断歩道の信号が赤にも関わらず、我が物顔で信号無視をして直進する自転車がいて、危うく接触事故が起きる寸前でした。

筆者は、そのケースで幸い事故にはなりませんでしたが、実は自転車側の信号無視などの交通違反によって、事故が相次いでいる事案が増加傾向にあります。

警視庁は、これまで「警告」にとどめていた違反に対しても、刑事罰の対象となる交通切符である「赤切符」を交付して検挙する方針を固め、今月下旬にも取り締まりの強化に乗り出すことを決定したのです。

今回は、自転車の悪質な違反行為についてお話します。

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どのような交通違反が、取締り強化の対象になるのか?

自転車取締り強化 取締り内容

警視庁はこれまでも自転車の違反に対し、罰則を伴わない専用のカードを使って「警告」をし、その中でも特に悪質な違反に対しては、刑事罰の対象となる交通切符である「赤切符」を交付して取締りを行ってきました。

しかし、こういった取締りを行っていても、依然として事故が相次いでいることから10月下旬から、取締りを強化する方針を固めたのです。

具体的な違反内容を挙げると、「信号無視」、「一時不停止」、「右側通行」、「歩道を通行する際に徐行をしない」といった4項目のうち悪質な違反については、これまで「警告」にとどめていたケースでも、今後は交通切符を交付して検挙するということです。

交通切符を交付されると検察庁に送られて刑事罰の対象として扱われる上、一定の期間内に繰り返し検挙された場合は、講習の受講が義務づけられます。

このような対策を通して警視庁は、自転車の適切な利用を促したい考えとなっている。

自転車の悪質な違反による「赤切符」が交付されるとどのような罰則が待っている?

自転車取締り強化 取締り内容

これまでは、街頭で警察官による交通違反を見つけた場合、「自転車指導警告カード」を渡して、警告していましたが、このカードを渡されても、特に罰則はありませんでした。

しかし、悪質な違反に対しては「赤切符」が交付されることで、「刑事処分」の対象となり、「罰金刑」、「懲役刑」となる可能性もあります。

ただ、現状では3年以内に2回以上交付された場合は、1回6000円、3時間の講習の受講が義務となり、講習を受講しなかった場合には、5万円以下の罰金となります。

実際に、赤切符が交付されたケースは、都内では去年1年間で、4,300件余りが検挙されているのが実情です。

また、「警告」に関しても去年の1年間で、およそ33万件にのぼっている。

自転車が関係する事故は高止まりが続いており、重大事故につながるケースも

自転車取締り強化 交通事故件数
東京都における自転車が関与する事故率

警視庁によると、東京都内の交通事故の発生件数は過去20年余り減少傾向で、去年は2万7,000件余りと、5年前と比べておよそ4,800件少なくなっている。

その一方で、「自転車が関係する事故」は高止まりが続いていて、去年は1万2,000件余りと5年前より1,600件余り増加し、全体に占める割合は増え続けている。

さらに、死亡・重傷事故の78%余りで自転車側に交通違反があったということです。

このようになっている背景には、近年の健康志向に加え、コロナ禍の移動手段としての人気やフードデリバリーの需要の高まりなどもあって自転車の利用者が増えていることが考えられるということです。

去年までの5年間に発生した自転車が関係する死亡・重傷事故2,500件余りの内訳は、車との接触が半数以上のおよそ58%を占める一方で、歩行者との接触事故も10%余りにあたる260件起きている。

事故例を上げると、2021年4月、東京都板橋区で横断歩道を歩いて渡っていた78歳の男性が、配達代行サービスの配達員の自転車にはねられて死亡する事故が起きました。

警視庁などによると、事故当時は夜間で、雨が降っていましたが、自転車のライトはついていなかったうえ、横断歩道の近くで減速せずに時速およそ20キロで走行していたということです。

また、同年12月の未明にも東京都足立区で歩道を歩いていた75歳の男性がライトがついていない自転車と衝突して車道に転倒し、車にはねられて死亡する事故がありました。

このように、自転車が関係する事故は身近に起きていて、いつ誰が加害者・被害者になっても不思議ではありません。

ながらスマホでの自転車走行による危険性も浮き彫りに

自転車取締り強化 ながらスマホ

ここ最近、テレビや新聞のニュースでも取り上げられていて、大きな問題になっているのが「ながらスマホ」が引き起こす接触事故です。

自転車事故に遭った人は「実際に自転車同士と正面衝突して、指をケガしたことがあります。前から来た自転車が多分スマホを見ていて、いきなりぶつかって来られたので、びっくりした」と話していました。

警視庁によると、2021年に発生した携帯電話使用中の人身事故は109件にのぼりました。

そのうち、自転車による事故は乗用車やバイクよりも多い52件と約半数を占めました。

いかに、自転車のながらスマホが横行しているかが分かります。

先日も停車中のクルマに後方から、スマホを見ながら自転車を運転している人が追突して、しかもその場から逃げるといった事件も報道されていました。

自転車はクルマの仲間という意識でルールを守ってと自転車団体が警鐘

自転車取締り強化 自転車ルール

交通ルールの啓発などに取り組む日本自転車普及協会の森下昌市郎さんは、自転車の交通違反が多い現状について、「新型コロナの感染拡大などの影響で自転車の利用者は都内でも増えていると考えられる。自転車は法律上『車両』にあたるが、免許は必要ないため、交通ルールをしっかりと学ぶ機会が少なく、特に都市部では左側通行などの基本的なルールを守っていない人が少なくないのが現状だ」と指摘しました。

そのうえで、「自転車は安全に利用すれば、適度な運動にもつながるとても便利で、最も身近な移動手段です。その一方で、ひとたび事故が起きれば命に関わる危険性もあるので、利用する際は、自転車が車の仲間だという意識で交通ルールをしっかり守ってほしい」と話していました。

自転車に頻繁に乗る機会がある人はもちろん、あまり乗らない人も、こういった意識を持つことで、車や自転車、歩行者とも安全に共存できる。

さいごに

自転車が関係している事故が増加していることで、このように取締りが強化されるのも、必然的なことなのかもしれません。

これまで、安全運転を心がけている方にとっては、不満が出てきてもおかしくないが、それでも危険な運転をしている人のほうが目立ってしまっていることから、このように罰則が厳しくなってしまいます。

もう決定されたことなので、覆る事はほぼないので、ひとりひとりがしっかり意識を持って自転車を運転することが大切です。

あくまでも、自転車はクルマの仲間。ということを忘れずに、自転車も自動車同様、走り出したら凶器になりかねないので、気をつけて運転したい。

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