全国のガソリンスタンド数は、1994年度末のピーク時6万421店から2024年度末には2万7009店へと半減以下に減少しています。これは、ガソリン需要の減少や後継者不足、設備投資の負担などが背景にあります。
また、2024年3月末現在、全国のセルフ式ガソリンスタンド数は10,829ヵ所で、全ガソリンスタンド数に占める割合は39.5%です。2023年3月末時点では38.3%であり、1年間で1.2ポイント上昇しています。
セルフ式ガソリンスタンドは人件費を削減できるため、経営改善の切り札として期待されてきました。これにより、フルサービスに比べて効率的な運営が可能となり、価格を安く設定できる傾向があります。
2008年の調査では、セルフ式ガソリンスタンドの利用希望者が75%に上りました。理由としては、安さだけでなく「自分で給油する方が気楽」「不必要なサービスを勧められない」といった理由も挙げられています。
そんな気軽に利用できるセルフ式ガソリンスタンドですが、何気なくやっている行動が火災や事故につながる危険性があります。
今回は、セルフ式ガソリンスタンドでやってしまいがちなNG行動8選についてお話します。
セルフ式ガソリンスタンドでやってしまいがちなNG行動8選
エンジンをかけたままでの給油

エンジンをかけたまま給油する行為は非常に危険とされています。
ガソリンは揮発性が高く、給油中は車の周囲にガソリン蒸気(可燃性ガス)が広がります。この状態でエンジンがかかっていると、エンジン周辺の電装部品や電気系統から発生するわずかな火花や熱が引火源になる可能性があります。もしガソリン蒸気に引火すると、瞬時に火が広がり車両火災やスタンドでの事故につながる恐れがあります。
また、エンジンが作動しているとマフラー(排気系)が高温になっており、これも引火の原因になることがあります。さらに、車内に人が残ってアクセルを踏んでしまったり、車が動いてしまうなどの二次的な事故の危険もあります。
そのため日本では、給油時には必ずエンジンを停止することが基本的な安全ルールとなっており、セルフ式、フルサービスを問わずすべてのガソリンスタンドで守るべき重要なマナーとされています。
静電気除去をしない

静電気除去を行わずに給油する行為は、思わぬ事故につながる危険があります。
人の体には、衣類の摩擦や車のシートから降りる動作などによって静電気がたまりやすくなっています。特に乾燥した季節は、数千ボルト以上の静電気が体に帯電することもあります。こうした状態で給油ノズルや給油口に触れると、パチッという火花(放電)が発生することがあります。
給油中はガソリンが気化して可燃性のガソリン蒸気が周囲に広がっているため、この静電気の火花が引火源となる可能性があります。万が一引火すると、給油口付近から炎が上がり、車両火災やガソリンスタンドでの事故につながる恐れがあります。
そのためセルフ式ガソリンスタンドには、給油機の近くに静電気除去シート(静電気除去パッド)が設置されています。給油を始める前にこの金属部分に触れて体の静電気を逃がすことで、放電による引火のリスクを大きく減らすことができます。
安全にセルフ給油を行うためには、給油前に必ず静電気除去シートに触れることが重要な基本ルールとされています。
給油ノズルを固定して放置する行為

給油ノズルを固定したままその場を離れてしまう行為は、思わぬ事故を引き起こす可能性がある危険な行動です。
給油ノズルには一定量になると自動で止まる「自動停止機能」が備わっていますが、車種や給油口の形状、ノズルの差し込み方などによっては正常に作動しない場合があります。その状態でノズルを固定したまま放置すると、ガソリンがあふれてしまい、地面や車体にガソリンがこぼれる恐れがあります。
ガソリンは揮発性が高く、周囲に可燃性の蒸気が広がりやすいため、こぼれたガソリンに火花などが引火すると火災や爆発事故につながる危険があります。また、給油中に車両が動いてしまったり、ノズルが抜け落ちたりすると、設備の破損やさらなる燃料漏れを引き起こす可能性もあります。
そのためセルフ式ガソリンスタンドでは、給油中はその場を離れず、ノズルをしっかり握って給油の様子を確認しながら行うことが基本的な安全ルールとされています。安全に利用するためにも、給油中は必ずその場で作業を見守ることが大切です。
ポリタンクなどへ勝手に給油

ポリタンクなどの容器へ勝手にガソリンを給油する行為は、非常に危険であり注意が必要です。
ガソリンは揮発性が高く引火しやすい危険物であるため、保管や運搬には厳しいルールが定められています。灯油用のポリタンクや一般的なプラスチック容器はガソリンの保管を想定していないため、容器の材質によってはガソリンが劣化や変形を引き起こしたり、蒸気が漏れたりする可能性があります。その結果、ガソリン蒸気に火花が引火して火災や爆発につながる危険があります。
また、ガソリンを携行する場合は、消防法に基づきガソリン専用の金属製携行缶を使用することが原則となっています。さらに、セルフ式ガソリンスタンドでは安全管理のため、従業員の立ち会いや確認が必要とされる場合もあります。
このような理由から、ポリタンクなどの容器へ勝手にガソリンを給油する行為は、事故や火災の原因になるだけでなく法律上の問題になる可能性もあります。安全に利用するためには、必ず専用の携行缶を使用し、スタンドのルールに従って給油することが大切です。
輸入タイヤ直販店 オートウェイ給油中の喫煙

給油中に喫煙する行為は、火災事故につながる非常に危険な行動です。
ガソリンは揮発性が非常に高い燃料で、給油中は目に見えないガソリン蒸気(可燃性ガス)が車の周囲に広がっています。この蒸気は空気と混ざることで燃えやすい状態になるため、タバコの火のような小さな火種でも引火する可能性があります。もし引火した場合、炎が瞬時に広がり、車両火災やガソリンスタンド全体の事故につながる恐れがあります。
また、タバコの火は約700℃以上になることがあり、風などの影響で火の粉が飛ぶと、ガソリン蒸気に触れて燃え広がる危険性もあります。このためガソリンスタンドでは、セルフ式・フルサービスを問わず敷地内は原則として全面禁煙となっています。
安全に給油を行うためには、給油中はもちろん、スタンドの敷地内では喫煙を控え、火気を使用しないことが重要な安全ルールです。
スマートフォン操作

給油中にスマートフォンを操作する行為は、安全面から注意が必要とされています。
給油中はガソリンが気化して可燃性のガソリン蒸気が車の周囲に広がっています。スマートフォン自体が直接火花を発生させる可能性は高くないとされていますが、電子機器である以上、電気的なトラブルや静電気などによってわずかな火花が発生する可能性を完全に否定することはできません。そのため、万が一ガソリン蒸気に引火した場合、火災につながる危険があります。
また、スマートフォンの操作に気を取られると、給油の状況を十分に確認できなくなる可能性があります。例えば、ノズルが外れたり、燃料があふれたりしても気付くのが遅れ、ガソリン漏れや事故の原因になることがあります。
このような理由から、多くのガソリンスタンドでは給油中のスマートフォン操作を控えるよう注意喚起が行われています。安全にセルフ給油を行うためには、給油作業に集中し、給油中はスマートフォンを操作しないことが望ましいとされています。
継ぎ足し給油(自動停止後にさらに給油する行為)

継ぎ足し給油(自動停止後にさらに給油する行為)を行うことは、思わぬトラブルや事故につながる可能性があるため注意が必要です。
給油ノズルには、燃料が満タンに近づくと自動で給油を止める自動停止機能が備わっています。これは燃料タンク内の空気やガソリンの状態を感知して、安全な量で給油を止める仕組みです。しかし、停止したあとに無理にレバーを引いて継ぎ足し給油をすると、タンク内の燃料があふれてしまい、給油口からガソリンが吹きこぼれる可能性があります。
ガソリンは揮発性が高いため、こぼれた燃料から発生する蒸気が周囲に広がり、静電気や火花などが引火源となって火災事故につながる危険があります。また、車両によっては燃料タンクの蒸発ガスを処理する装置(蒸発ガス排出抑制装置)にガソリンが入り込み、車両の故障や警告灯点灯の原因になることもあります。
このためセルフ式ガソリンスタンドでは、自動停止した時点で給油を終えることが基本とされています。安全のためにも、満タンになった後の継ぎ足し給油は行わないことが大切です。
油種(燃料の種類)の間違い

油種(燃料の種類)を間違えて給油することは、車両トラブルや故障につながる危険なミスです。
自動車用の燃料には主にレギュラーガソリン・ハイオクガソリン・軽油の3種類があります。それぞれ使用できるエンジンが異なるため、間違った燃料を入れてしまうとエンジンが正常に作動しなくなる可能性があります。例えば、ガソリン車に軽油を入れてしまうと燃料が適切に燃焼せず、エンジンの不調やエンスト、最悪の場合は燃料系統の洗浄や修理が必要になることがあります。
逆に、ディーゼル車にガソリンを入れてしまうと、燃料の潤滑性が不足するため燃料ポンプやインジェクターなどの部品に深刻なダメージを与えることがあります。こうした場合、修理費が高額になるケースも少なくありません。
セルフ式ガソリンスタンドでは利用者が自分で油種を選ぶため、給油前に自分の車が使用する燃料の種類を必ず確認することが重要です。油種を正しく選ぶことは、車を守るだけでなく安全に給油を行うための基本的なポイントといえます。
さいごに
以上が、セルフ式ガソリンスタンドでやってしまいがちなNG行動8選です。
セルフ式ガソリンスタンドを安全に利用するためには、基本的なルールとマナーを守り、正しい手順で給油することが大切です。
エンジン停止や、静電気除去シートに触れたりといった行動は浸透しつつありますが、給油中のスマートフォン操作や継ぎ足し給油は、いまだに見かけることの多い行動なので、注意が必要です。
ガソリンは非常に燃えやすい燃料のため、火気の使用はもちろん、小さな不注意でも事故につながる可能性があります。
基本的なルールを守ることで、セルフ式ガソリンスタンドは便利で安全に利用することができます。安全を意識し、落ち着いて正しい手順で給油することが事故防止につながります。


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