ライドシェアは、一般のドライバーが自家用車を使って有料で乗客を運ぶサービスのことで、2009年にアメリカで誕生したUberがサービスを始めたことを皮切りに、世界各国で急速に普及しています。
日本国内においては、これまで法環境整備に向けた議論が全くなされていなかったが、岸田首相は20日に召集される臨時国会の所信表明演説で、導入の検討を表明することがわかり、日本国内においてもライドシェアの解禁について前向きに議論がなされそうです。
世界各国で急速な普及を見せているライドシェアは、概ね成功している印象で、世界のライドシェアリング市場は、2021年から2028年の予測期間においてCAGR 16.3%で、2021年の843億ドルから2028年には2,427億3,000万ドル(約30兆円)に成長すると予測されています。
今回は、ライドシェア解禁がもたらすメリット・デメリットについてお話します。
ライドシェア解禁に向かう背景とは?
岸田首相は、過疎地域での交通の担い手不足や、観光地でのタクシー不足などを背景に、現在は道路運送法で禁止されている「ライドシェア」の解禁検討を打ち出すということを表明しました。
岸田首相はこれまでも、タクシー不足などを「深刻な社会問題」と位置付け、「ライドシェア」導入に向けた規制緩和の議論を加速するよう関係閣僚に指示していました。
ライドシェアをめぐっては、安全性の確保に課題があるとして自民党内から慎重な意見が出される一方で、菅前首相や河野デジタル大臣は解禁に前向きな考えを表明しているとのことです。
観光地でのタクシー不足の実態
国内外から観光地として人気の高い京都では、コロナ禍が落ち着き、にぎわいが戻ってきた反面、タクシーがつかまりにくくなっています。
この背景には、新型コロナウイルスの影響により、観光需要が低迷したこ3年間で運転手が全体の2割にあたる約1,800人減少したことにより、深刻な人手不足に陥っています。
世界遺産である清水寺近くのタクシー乗り場では、週末を中心にタクシーが入りにくくなっており、乗客が30分以上待たされるケースもあります。
また、JR京都駅にあるインバウンド需要に対応するため、京都市などが2017年に始めた、英語や中国語での簡単なやり取りができるよう研修を受けた「認定ドライバー」が運転する、「フォーリンフレンドリータクシー」の専用乗り場でも、車の姿はなかなか見られない。
この乗り場で20分待っていたタイ人の男性は、あきらめて20人ほどが並ぶ隣の一般の乗り場に移ったが、「英語がわかる運転手じゃないと不安だ」と漏らした。
地域住民にとって一番身近な路線バスにも減便、廃止の流れが加速
地域の足として最も身近な存在である路線バスでは、路線の廃止や減便が広がってきており、これまでは過疎エリアが中心で、人口減少やマイカーの普及に伴って利用者が減り、慢性的な赤字に陥って持続できなくなるというのが主たる理由だったが、近年は事情が変わってきており、東京23区を含む大都市圏でも路線の廃止や減便、始発時刻の繰り下げ、終バス時刻の繰り上げが目立ってきています。
ただ、路線バスの縮小は今に始まった話ではなく、国土交通省の資料によれば、2008年度から2022年度までに2万733キロが廃止となっているのが実情だ。
毎朝6時30分に出発する、とあるバスを利用している女性も、7時30分に出発時刻が変更され「仕事に行くのにこの時間のバスを利用しなければならない。他の人たち(この時間に利用する人)は、どのようにしているのか気になる」と困惑している様子だった。
来年4月からの制度改正でトラックやバス、タクシーの運転手不足が懸念されている「2024年問題」が控えている中、実はすでに人手不足の影響は深刻化している。
ライドシェア解禁がもたらすメリット・デメリット
タクシーやバスの運転手不足により、地域住民や観光客は不便である現状が見えてきました。
この現状を打破するべく、ライドシェア解禁にむけた検討がされますが、解禁となったらどののようなメリット、デメリットがあるのでしょうか?
ライドシェア解禁によるメリット
利用のしやすさ
意外にも、タクシーを利用したい時に限ってタクシーがつかまらない。っていう経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか?
やはり、人手不足により稼働しているタクシーの絶対数も少ないので、ライドシェアによって利用しやすい環境になります。
スマホアプリで配車要請を受け、希望する目的地まで運ぶというシステムで、原則キャッシュレス決済であり、行き先はスマホに入力するので、基本的に乗客との会話や金銭のやりとりはないことから、外国人観光客からしても利用しやすくなります。
低価格で乗ることができる
現状、ライドシェアはタクシーよりも料金が安く設定されていることが一般的です。
理由としては、ライドシェアは空車の車両を有効活用できるため、タクシーよりもコストを抑えられる性質があるためです。
移動手段の新たな選択肢になる
ライドシェアは、タクシーや公共交通機関に加えて、新たな移動手段として利用できるため、より便利に移動することができます。
新たな雇用を生み出す
一般のドライバーが乗客を運ぶサービスになるため、新たな雇用を生み出すことができます。
ライドシェア解禁によるデメリット
タクシー業界の衰退
ライドシェアは、タクシーよりも料金が安いため、タクシーの利用者が減少する可能性があり、タクシー業界は、ライドシェアとの競争によって、収益が減少し、就業環境が悪化する可能性があります。
安全性の低下
ライドシェアは、一般のドライバーが配車サービスを提供するため、下記のような安全性への懸念があります。
・運転者の適性や経験不足による事故のリスク
・車両の安全基準を満たしていない車両の使用
・乗客の安全を脅かす行為(暴行や盗撮など)
タクシー運転手やバス運転手のように2種免許を持たないドライバーが多くなることから、安全性へのリスクは考えられます。
交通渋滞の増加
ライドシェアのクルマが多く出回るため、交通渋滞の大きな原因になる可能性があります。
さいごに
ライドシェアは各方面での不満を解消すべく、前向きに検討しているので実現ができたら、現状の不便を解消できるのは間違いなさそうだ。
特に、これからインバウンドを盛り上げていくには、外国人観光客が安心して早く利用できるようになれば、さらにインバウンドも盛り上がっていくだろう。
ライドシェアを解禁することで、メリットのほうが大きいが、一般のドライバーが運行することによる懸念が大きいため、ドライバーとして参入するには、しっかりとした意識を持ったドライバーでなくてはならないと思います。
ライドシェアについて、不便な状態を打破できる可能性が高いから個人的には解禁が賛成ですね。
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