見たらおもわず心が躍る、リトラクタブルヘッドライトが消えた理由

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こんにちは、SCPです。

タイトルにある通り、今回はリトラクタブルヘッドライトについてお話していきます。

リトラクタブルライトと言われても、最近のクルマに採用されることがほとんど無い為ピンとくる方は少ないかもしれません。

リトラクタブルライトとは、クルマのヘッドライトの形状のひとつで、通常のヘッドライトは自動車の前部に固定して据え付けられているのに対し、リトラクタブルヘッドライトは、消灯時はボンネット内部に格納しており点灯時のみ外部に展開される構造となっているヘッドライトのことだ。

それでは、リトラクタブルライトについてお話します。

リトラクタブルライトの誕生

リトラクタブルライトが誕生した経緯だが、クルマは車体前部の高さを下げることで、空気抵抗の減少につながるが、前頭部に装備するヘッドライトの最低地上高は歩行者に対する安全上の理由から規制があり、極端に低い位置には設置出来ないというルールがあった。

またヘッドライトの存在は車体デザインの自由度を制約し、カーデザイナーは古くからヘッドライトの取り扱いに苦慮してきた歴史がある。

特に、アメリカにおいては1984年のFMVSS改定まで「SAE規格型」の丸形・角型灯体以外使用することができなかったが、その規格型のライトを使用したままフロントノーズを低くするには「不使用時には格納」するしかなかったという事情もあった。

このような課題をクリアするために、「必要な時だけ法規制を満たす高い位置に露出するヘッドライト」として着想されたのがリトラクタブルヘッドライトの誕生である。

リトラクタブルライトの内部構造も様々

リトラクタブル コルベットC2
2代目コルベット

基本的には、ヘッドライトユニットの前縁を持ち上げるタイプが多いが、一部には、オペル GT、2~4代目シボレー・コルベットのようにユニット自体を反転させるタイプやリンカーンに代表されるアメリカ車の高級セダンでは、直線に切り立ったカバーからライトが回転して飛び出すというギミックを備えたものを採用するケースが多かった。

リトラクタブル ハラマ
ランボルギーニ ハラマ

また、ランボルギーニ・ハラマやいすゞ・ピアッツァ、ホンダ・バラードスポーツCR-Xなどのヘッドランプの半分または四分の一だけを覆うカバーのみを開閉するタイプや、格納時にも前照が可能なセミ・リトラクタブル・ヘッドライトと呼ばれるタイプもある。

リトラクタブル Z31

他にも、通常のリトラクタブル式がカバー部とライトが一体で、弧を描いて上下するのに対して、ライト自体がカバー部と別体で、垂直に移動する方式もあり、日産・フェアレディZ(Z31型)、マツダ・サバンナRX-7(FC3系)や初期の三菱・GTO等が採用された。

Z31型のフェアレディZのヘッドライトは「パラレルライジングヘッドランプ」と呼ばれていた。

なんだか、ヒーローものの必殺技のような名称ですね(笑)

リトラクタブル XJ220

さらに、オペルGTには横に回転する特異なタイプの可動式ライトが装着されているほか、ジャガー・XJ220などヘッドライトを覆うカバーを移動させるタイプもある。

この当時の、リトラクタブルライトに対する開発に各メーカー試行錯誤を繰り返して採用されるまでメチャクチャ大変そうですよね。

リトラクタブルライトがブームになった理由

リトラクタブル 2000GT
トヨタ 2000GT

日本での初採用となった車種は、1967年登場したトヨタ・2000GTで、その後1970年代後期以降スーパーカーブームをきっかけとして一般に広く認知され、マツダ・サバンナRX-7をはじめとするスポーツカーに採用されたため、当時はスポーツカーを象徴する代表的なパーツと見られるようになり、自動車愛好家の羨望の的となった時期もあった。

リトラクタブル パルサーエクサ
パルサーエクサ

1980年代に入ると日産・パルサーエクサ(EXA)、ホンダ・アコードやホンダ・クイントインテグラ、トヨタ・カローラⅡ(および兄弟車のコルサ、ターセル)、マツダ・ファミリアアスティナなどをはじめとするセダン形やハッチバック形乗用車にまで採用され、一時的なブームともいえる状態となったのだった。

リトラクタブル デコチャリ

クルマのみならず、「デコチャリ」と呼ばれた少年用の自転車にも手動による、リトラクタブルライトを採用したものがあった。

自転車にも、リトラクタブルライトが採用されるなんて、いかに当時大流行していたかが分かりますね。

ブームの終焉、次々と採用されなくなったわけ

今現在も、続々と新型車が出てくるがリトラクタブルライトを採用して登場するクルマはほとんどない(後述で出てくる限定車ではリトラクタブルライトの復活がある)

それには、理由があり以下の点によってリトラクタブルライトを採用されることが減少した。

リトラクタブルライトの持つ問題点

1.展開時に空気抵抗が増大する。
2.開閉機構を装備することによる重量増。
3.開閉機構が複雑で部品点数が増加し、コスト面と信頼性で不利になる
4.突出したライトにより、対人事故の際、対象に重度の傷害を与える恐れがある。
5.事故時や、寒冷地での凍結時ではライトが展開しなくなる恐れがある。

など、出始めのメリットと今、採用するメリットを天秤にかけると圧倒的不利になることが多く見受けられた。

実用性を考えた時にリトラクタブルライトを採用する必要性の低下

1.北米におけるライト最低地上高規制の緩和
2.プロジェクターヘッドライトやマルチリフレクター式ライトの実用化により、配光をレンズカットにより行う必要がなくなったことなどから、それまで垂直にならざるを得なかった前面レンズが単なるライトカバーとなったため、スラントさせたり任意の曲面とすることが可能となり、空力やライトデザインの制約が大きく減った為。
3.一部の国や地域では走行時、ヘッドライトの終日点灯を義務付けているので、そのような場合は走行中にライトを格納していることがないため、装備する意味がほとんどなくなった。

などと、規制緩和や終日点灯するなどの規則改定によりリトラクタブルライトを採用される事が無くなってしまった。

リトラクタブル RX-7
マツダ RX-7

日本では、2002年8月、マツダ・RX-7の生産終了を最後に日本製乗用車での採用例は消え2005年2月11日、シボレー・コルベットのフルモデルチェンジを最後に、リトラクタブル・ヘッドライトは新車市場から一旦消滅した。

リトラクタブル プロジェクト・パンサー・コンセプト
プロジェクト・パンサー・コンセプト

その一方で、2018年にランボルギーニ・ウラカンをベースに製作された「プロジェクト・パンサー・コンセプト」が限定20台で市販されることが報じられたため、限定車という括りだが約13年ぶりにリトラクタブルヘッドライトの搭載車が新車市場に登場することとなった。

さいごに

リトラクタブルライトについてお話してきましたが、いかがだっただろうか?

リトラクタブルライトのクルマが盛んだった世代には懐かしいと感じる部分があったのではないだろうか?

筆者は、根底にスポーツカーが好きという事もあり今でも憧れ的なヘッドライトデザインのひとつです。

日本でも、今は法規制によりリトラクタブルライトを採用する事は難しくなり今後の新型車で出る事は今のところ考えられていないだろうが、好みはあるだろうが個人的にはリトラクタブルライトの復活を望みたい。

しかし、弱点が明確になった現在、採用されることは難しいであるのが悲しい現実だ。

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