こんにちは、SCPです。
クルマを所有し、大事に乗り続けるには車検(自動車検査登録制度)の手続きを必ず受けなければ乗り続けることができません。
これは、車の構造や装置などが、保安上の技術水準に適合しているかどうかを確認する制度のことで、安全性の確保だけでなく、他にも公害の防止も目的のため、道路運送車両法で規定されており、車検を受けて「自動車検査証」の交付を受けなければならない決まりとなっています。
クルマを所有されている方の多くの方は、購入したディーラーや販売店などに任せるケースが多いとは思いますが、ユーザー車検と呼ばれる自ら車検の手続きを行う方もいらっしゃるだろう。
その車検の手続には、運輸支局にクルマを持ち込み、検査を受け、基準に満たせば晴れてそのクルマを乗ることができます。
そこで、2020年9月25日に、国土交通省自動車局が発表した令和3年度予算案の概算要求概要によると、新たに「自動車検査登録手続きの申請者利便の向上および整備関係講習のデジタル化」として2億4,200万円を計上しました。
国土交通省は今回の概算要求概要について、「新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機として、自動車検査登録手続の簡素化や待ち時間の短縮による申請者負担の軽減を図るため、自動車検査証更新手続のドライブスルー化や、あらかじめ必要な申請書を自宅等で作成することを可能とするサイトの構築等を行う」と発表している。
今回は、自動車検査証更新手続きのドライブスルー化とはいったいどういうものなのかといった事をメインにお話していきたいと思います。
車検のドライブスルー化を進める背景とは
安倍晋三総理が辞任して、後任の菅義偉総理による新しい政権が発足したのは、記憶に新しいことであるが、その中でも2年後を目処に「デジタル庁」を設立するという、これまでにない改革が行われると発表された。
これには、個々の省庁でそれぞれデジタル化を進めているが、縦割り行政の影響でなかなか進まないため、専門に扱うデジタル庁を新設する流れとなっているのだ。
この流れを汲み、国土交通省は車検の更新手続きをドライブスルー化するという項目を令和3年度予算概算要求概要に入れていることが分かった。
このような対策は、冒頭でもお伝えしたとおり新型コロナウイルス感染症の感染拡大を懸念して、検査ラインでの職員とクルマを持ち込んだドライバーとの接触機会を減らす事が目的としている。
ドライブスルー化によって、どのような部分が変わる?
一概に、ドライブスルー化を行うと言っても、実際に車検手続全体が一気にドライブスルーになるように思い込んでしまいそうになるが、今回の計画はあくまでも「検査ラインの後ろに新しい車検証を発行する窓口が移設される」といったものだ。
個人的には、期待していた効果は感じないが、検査当日に用意する書類を事前に専用サイトで作成できるようにする計画されていたりと、人と人の接触機会が現行よりは減少すると思うので、対策の始まりとしては及第点を与えてもいいのではないのかと感じる。
但し、国土交通省は「実際に導入することを検討する段階に入っても、業務フローは全国の車検場ですべて同一ではないので、実際に検査の流れなどを全国で調査して、どこに導入していくか検討することになる」とのことだった。
今後、このような部分が課題なってくるであろう。
車検証を従来の紙ではなくICカード化を令和5年1月に導入か
車検制度のデジタル化という観点からいうと、すでに令和5年(2023年)1月導入を目処に車検証のICカード化を進めており、ドライブスルー化もそれに合わせて導入されることが考えられる。
実はすでに、登録手続きに関しては電子化が始まっており、自動車を保有するためには各種行政手続きと税金と手数料の納付が必要だが、これらの行政手続きや税金・手数料の納付をオンライン申請で一括して行うことを可能にしているのが「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」というサービスが存在している。
平成17年12月から一部の地域で始まったこのサービスは、利用すると申請のために各行政機関の窓口に出向く必要がなくなり、パソコンを使ってインターネット上で手続きと納付をすることが可能なのだ。
実際にはディーラーなどに依頼される方も多いと思うが、その場合もOSSを利用すればディーラーも行政機関に出向く手間が軽減されるので代行手数料の軽減につながるのだ。
ワンストップサービス(OSS)の概要と現状
OSSの導入地域は令和2年3月時点で、新車・中古車新規登録については44都道府県、継続検査については全国47都道府県、変更登録、移転登録、一時抹消登録及び永久抹消登録については全国44都道府県で利用可能となっている。
しかし、OSSの利用は、新規登録については、平成30年度末で106.6万件(40.8%)、継続検査については、265.5万件(16.7%)となっており、いずれもOSSの利用は低調となっている。
このような背景には、OSSで申請した場合であっても、自動車検査証受取りのための運輸支局等への出頭が必要となっていることが、継続検査、変更登録および移転登録に関するOSSのさらなる利用促進を検討していくうえで、課題とされていた。
こうした状況を打開するため、デジタル行政の実現に向けた取り組みの一つとして、OSSを推進するために自動車検査証の電子化に取り組むことになった流れだ。
これと並行して、車検証の電子化に向けた法整備も整えられており、令和元年年5月に公布された道路運送車両法の一部を改正する法律において、車検証の電子化についての条文が新たに組み込まれており、この改正法は、公布日から4年以内(令和5年5月まで)に施行する必要があるため、国土交通省は前倒しして準備を進める方針となっている。
各国の車検証のデジタル化は?
実際に、車検証のデジタル化を導入している各国の状況だが、オランダ、スロバキア、オーストリアはIC登録証を導入している。
例えばオランダのIC登録証の場合、平成26年1月からIC化がスタートし、新規登録、変更登録、移転 登録時すべてで新規発行され、ポリカーボネイト製のIC登録証が郵送される仕組みとなっている。
また、ICチップの空き領域には車両のモデルやグレード、ボディカラー、車体番号の打刻位置など、車検証に記載されていない車両情報を入れこむことも検討されています。
車検証のデジタル化によって、自動車ユーザーにおけるメリットは
すでにOSSよって登録手続きがオンラインで行うことができるようになっているが、さらに車検証のICカード化によって電子化がさらに進み、車検の有効期限を示す検査標章ステッカーを郵送で送ってもらい車両に貼ることになれば、自動車整備業界の人手不足対策や手続きの非接触化のために大きく貢献することは間違いないと言える。
こうした車検証のICカード化やドライブスルー化によって、検査機関への来訪が不要になることから、自動車ユーザーにとっては、車検費用の軽減につながる。
また、今回の更新手続きのドライブスルー化や車検証のIC化でも、納税確認や自賠責の加入確認は自動化することで効率化するシステムが考えられているとのことだ。
さいごに
いかがだったでしょうか?
首相が変わり、新型コロナウイルスの影響により、どんどん世の中が変わってきていますね。(今に始まったことではないですが)
こういった流れも、新しい生活様式の一部として考えられている制度ですよね。
但し、個人的には、日本のデジタル関係については各国の先進国と比べると、だいぶ遅れているのは目に見えているので、このような新制度は大方賛成ではありますが、デジタル化が進んでも他者や他国からのサイバー攻撃などで情報を盗まれたり、壊されたりいった懸念があるので、セキュリティ対策に力を入れて安心で便利な手続きを行える環境の構築も必要不可欠であると思います。
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