クルマを所有していたら、一度は経験があるであろう(一度も経験がない方はラッキーです)自動車の『リコール』というものがあります。
自動車におけるリコールとは、設計や製造段階を原因とする不具合が特定の自動車(オートバイを含む)および原動機付自転車に発見され、その不具合により保安基準に不適合となる場合、道路運送車両法第63条の3に基づき、メーカーや輸入業者が国土交通大臣へその旨をあらかじめ届け出て、該当する製品を無料で修理をする制度のことだ。
要するに、作っている段階で不具合が見つかったので各ディーラーや販売店などで回収や修理を行ってください。といった内容だ。
また、リコール以外にも「改善対策」や「サービスキャンペーン」があり、改善対策は道路運送車両の保安基準に規定されているものではないものの、不具合が発生した場合に看過できない場合で、それが設計や生産に原因があると認められるときに、メーカー等が適切な改善を行なうことを示します。
サービスキャンペーンとは、リコールや改善対策には該当しないような不具合について、商品性・品質の改善を実施することを意味しています。
このように、保安基準外や重大な欠陥以外の不具合についても、メーカーが国土交通省に届出を行いユーザーの車両を直さないといけないルールだ。
今回は、2020年3月における車両のリコール情報についてまとめてみたので、是非ご覧ください。
これを機に、自分で所有している車両がリコール対象車だと気づいて頂ければ幸いです。
- 2020年3月のリコール届出情報(国産車)
- トヨタ・レクサスなど計31車種、計46型式を対象(4日)
- 日産 エクストレイル、計1車種、計2型式を対象(5日)
- 日産 NV200バネット、計1車種、計1型式を対象(5日)
- いすゞ エルフ、計1車種、計7型式(12日)
- ダイハツ・トヨタ・スバルなど計8車種、計16型式を対象(12日)
- スズキ・マツダなど計2車種、計2型式を対象(17日)
- トヨタ ハイエースなど計2車種、計9型式を対象(18日)
- マツダ アクセラ・アテンザ・CX-5など計3車種、計11型式を対象(19日)
- いすゞ、日野、三菱など計4車種、計19型式を対象(26日)
- ニッサンディーゼル、UDトラックス、三菱など計3車種、計17型式を対象(31日)
- 三菱、ニッサンディーゼル、UDトラックスなど計2車種、計6型式を対象(31日)
- 2020年3月のリコール届出情報(輸入車)
- BMWアルピナ、計18車種、計6型式を対象(2日)
- BMW 118iなど計2車種、計2型式を対象(2日)
- BMW 320iなど計18車種、計14型式、1不明を対象(2日)
- メルセデス・ベンツ メルセデスAMG G63など計2車種、計2型式を対象(10日)
- メルセデス・ベンツ CLS220dなど計50車種、計63型式を対象(10日)
- BMWアルピナ D3ビ・ターボなど計5車種、計3型式を対象(17日)
- BMW MINI Cooper Dなど計9車種、計10型式を対象(17日)
- プジョー 5008、計1車種、計2型式を対象(17日)
- BMW 1600Bなど計4車種、計1型式を対象(18日)
- ポルシェ Macan(マカン)、計4車種、計12型式を対象(23日)
- 2020年3月の改善対策届出情報
- さいごに
2020年3月のリコール届出情報(国産車)
トヨタ・レクサスなど計31車種、計46型式を対象(4日)
『燃料装置(燃料ポンプ)』に不具合があり、低圧燃料ポンプのインペラ(樹脂製羽根車)において、成形条件が不適切なため、樹脂密度が低くなって、燃料により膨潤して変形することがある。
そのため、インペラがポンプケースと接触して燃料ポンプが作動不良となり、最悪の場合、走行中エンストに至るおそれがある。
トヨタ・レクサスなど計31車種、計46型式のリコール届出一覧表
日産 エクストレイル、計1車種、計2型式を対象(5日)
『電気部品(ハイブリッドパワートレインコントロールモジュール)』に不具合があり、ハイブリッド車のハイブリッドパワートレインコントロールモジュール(HPCM)において、モータ駆動力制御プログラムが不適切なため、エンジンコントロールユニット(ECU)との通信異常が発生し、フェールセーフ状態に移行した際、動力が伝達されなくなり、一時的に走行不能に至るおそれがある。
日産 エクストレイル、計1車種、計2型式のリコール届出一覧表
日産 NV200バネット、計1車種、計1型式を対象(5日)
『電気装置(電源分配器)』に不具合があり、電源分配器の基板において、製造設備の管理が不適切なため、不要な半田が付着した状態で防湿材がコーティングされたものがあり、使用過程においてコーティングに亀裂が発生することがある。
そのため、高湿環境下において電極間の微細な導通が発生して電極成分が移動し、短絡回路が形成されると、短絡電流の発熱によって、最悪の場合、車両火災に至るおそれがある。
日産 NV200バネット、計1車種、計1型式のリコール届出一覧表
日産 NV200バネット、計1車種、計1型式の改造箇所説明図
いすゞ エルフ、計1車種、計7型式(12日)
『車体(スペアタイヤキャリア)』に不具合があり、中型トラックの横吊り式スペアタイヤキャリヤにおいて、吊り板の形状が不適切なため、当該キャリヤにアルミホイール付タイヤを固定すると、走行中の振動でスペアタイヤが回転することがある。
そのため、当該スペアタイヤキャリヤのチェーンと吊り板が干渉して削れ、チェーン
が破断し、最悪の場合、スペアタイヤが脱落するおそれがある。
ダイハツ・トヨタ・スバルなど計8車種、計16型式を対象(12日)
『かじ取装置(ステアリングホイール)』に不具合があり、ステアリングホイールにおいて、ステアリングコラムとの取付け作業が不適切なため、走行中の操舵等の入力により、取付けナットが緩み、嵌合部にガタが発生するものがある。
そのため、そのままの状態で使用を続けると、ガタが大きくなり、最悪の場合、当該嵌合部が外れ、ハンドル操作ができなくなるおそれがある。
ダイハツ・トヨタ・スバルなど計8車種、計16型式のリコール届出一覧表
ダイハツ・トヨタ・スバルなど計8車種、計16型式の改造箇所説明図
スズキ・マツダなど計2車種、計2型式を対象(17日)
『その他の装置(車線逸脱警報装置)』に不具合があり、車線逸脱警報装置において、車線逸脱抑制機能の制御プログラムが不適切なため、運転者が車線逸脱警報をOFFにすると車線逸脱抑制機能が作動している状態で車線を逸脱した場合に警報が作動せず、道路運送車両法の保安基準第11条(かじ取り装置の基準)に適合しない。
トヨタ ハイエースなど計2車種、計9型式を対象(18日)
『電気装置(配線)』に不具合があり、大型バッテリを搭載した架装車両において、エンジンルーム内の電気配線組付指示が不適切なため、当該配線の端子が周辺部品と十分な間隙が確保されていないものがある。
そのため、使用過程で当該配線の端子が周辺部品と接触し、最悪の場合、短絡して、バッテリが上がり、走行不能になるおそれがある。
トヨタ ハイエースなど計2車種、計9型式のリコール届出一覧表
マツダ アクセラ・アテンザ・CX-5など計3車種、計11型式を対象(19日)
『原動機(エンジン制御コンピュータ)』に不具合があり、
①エンジンの吸気シャッタ・バルブにおいて、制御プログラムが不適切なため、バルブ周辺に付着する煤などにより、バルブ開度が正しく制御されなくなり、エンジン警告灯が点灯した際、フェールセーフが十分に機能せず、バルブが全開しないことがある。
そのため、煤などの付着により、バルブが全閉のまま固着した場合、エンジンが停止するおそれがある。
②エンジンの排気圧センサにおいて、異常判定プログラムが不適切なため、センサ内部への水分の浸入により、センサの出力値がずれ、排出ガスが基準値を満足しなくなる場合に、異常判定しない。
そのため、そのままの状態で使用を続けると、浸入した水分により排気圧センサ内の電子回路が腐食し、断線することでエンジン警告灯が点灯し、フェールセーフ制御によりアイドリングストップが作動しなくなり、変速ショックが大きくなるおそれがある。
マツダ アクセラ・アテンザ・CX-5など計3車種、計11型式のリコール届出一覧表
マツダ アクセラ・アテンザ・CX-5など計3車種、計11型式の改造箇所説明図①
マツダ アクセラ・アテンザ・CX-5など計3車種、計11型式の改造箇所説明図②
いすゞ、日野、三菱など計4車種、計19型式を対象(26日)
『燃料装置(燃料タンク)』に不具合があり、燃料タンクにおいて、ドレンプラグの燃料タンクへの組み付け作業が不適切なため、ドレンプラグが適切に締め付けられていないものがある。
そのため、そのままの状態で使用を続けると、ドレンプラグ部より燃料が漏れるおそれがある。
いすゞ、日野、三菱など計4車種、計19型式のリコール届出一覧表
ニッサンディーゼル、UDトラックス、三菱など計3車種、計17型式を対象(31日)
『その他(エアヒータリレー)』に不具合があり、大型路線バスのエンジンインテークエアヒータリレーにおいて、リレー内部電気接点の耐久性が不足しているため、アイドリングストップ機能や、停留所等でのエンジン停止始動を頻繁に繰り返すと、接点部がアーク放電により溶損することがある。
そのため、そのままの状態で使用を続けると、接点が溶着状態となり発熱して炭化・発煙し、最悪の場合、リレー及び配線の一部が焼損に至るおそれがある。
ニッサンディーゼル、UDトラックス、三菱など計3車種、計17型式のリコール届出一覧表
ニッサンディーゼル、UDトラックス、三菱など計3車種、計17型式の改造箇所説明図
三菱、ニッサンディーゼル、UDトラックスなど計2車種、計6型式を対象(31日)
『その他(エアヒータリレー)』に不具合があり、大型路線バスのエンジンインテークエアヒータリレーにおいて、リレー内部電気接点の耐久性が不足しているため、アイドリングストップ機能や、停留所等でのエンジン停止始動を頻繁に繰り返すと、接点部がアーク放電により溶損することがある。
そのため、そのままの状態で使用を続けると、接点が溶着状態となり発熱して炭化・発煙し、最悪の場合、リレー及び配線の一部が焼損に至るおそれがある。
三菱、ニッサンディーゼル、UDトラックスなど計2車種、計6型式のリコール届出一覧表
三菱、ニッサンディーゼル、UDトラックスなど計2車種、計6型式の改造箇所説明図
2020年3月のリコール届出情報(輸入車)
BMWアルピナ、計18車種、計6型式を対象(2日)
『エアバッグ装置』に不具合があり、助手席用エアバッグのインフレータ(膨張装置)について、長期間にわたり、著しく高温多湿な環境下にさらされると、当該インフレータに水分が浸入する可能性があり、結果として、エアバッグ展開時にインフレータ内圧が異常上昇し、インフレータ容器が破損して飛び散り、乗員が負傷するおそれがある。
BMW 118iなど計2車種、計2型式を対象(2日)
『尾灯(テルテール)』に不具合があり、ボディドメインコントローラー(BDC)において、プログラムが不適切なため、昼間走行灯を点灯させている時に尾灯を単独で点灯させてもメーターパネル上に灯火器が作動していることを示す表示灯が点灯しない。
そのため、保安基準第 37 条(尾灯の基準)に適合しないおそれがある。
BMW 320iなど計18車種、計14型式、1不明を対象(2日)
『エアバッグ装置』に不具合があり、助手席用エアバッグのインフレータ(膨張装置)について、長期間にわたり、著しく高温多湿な環境下にさらされると、当該インフレータに水分が浸入する可能性があり、結果として、エアバッグ展開時にインフレータ内圧が異常上昇し、インフレータ容器が破損して飛び散り、乗員が負傷するおそれがある。
BMW 320iなど計18車種、計14型式、1不明のリコール届出一覧表
BMW 320iなど計18車種、計14型式、1不明の改造箇所説明図
メルセデス・ベンツ メルセデスAMG G63など計2車種、計2型式を対象(10日)
『電気装置(ドア配線)』に不具合があり、前席のドア配線において、配索が不適切なため、強い引っ張りが生じることがある。
そのため、ドアの開閉を繰り返すと当該配線が断線し、最悪の場合、警告表示が点灯してドアミラーウインカーが点灯しなくなる、又は、SRS警告表示が点灯して側面衝突時に乗員保護装置が適切に作動せず乗員に過度の傷害を与えるおそれがある。
メルセデス・ベンツ メルセデスAMG G63など計2車種、計2型式のリコール届出一覧表
メルセデス・ベンツ メルセデスAMG G63など計2車種、計2型式の改造箇所説明図
メルセデス・ベンツ CLS220dなど計50車種、計63型式を対象(10日)
『乗員補助拘束装置(シートベルトバックル)』に不具合があり、前席のシートベルトバックルにおいて、プレス冶具の管理が不適切なため、シートベルト装着時に金具ががたつくものがある。
そのため、シートベルトの装着を正しく認識できず警告灯が点灯したまま、最悪の場合、衝突時に点火式シートベルトテンショナが作動せずに、乗員に過度の傷害を与えるおそれがある。
メルセデス・ベンツ CLS220dなど計50車種、計63型式のリコール届出一覧表
メルセデス・ベンツ CLS220dなど計50車種、計63型式の改造箇所説明図
BMWアルピナ D3ビ・ターボなど計5車種、計3型式を対象(17日)
『エンジン(排気ガス再循環装置モジュール)』に不具合があり、ディーゼルエンジンの排気ガス再循環装置(EGR)モジュールにおいて、排気ガス冷却装置の耐久性が不十分であるため、冷却水が漏れるものがある。
そのため、排気ガスに含まれる煤が冷却水と混合して排気ガス再循環装置(EGR)モジュールの内部に堆積し、高温になった堆積物がインテークマニホールドに流入し付着して、インテークマニホールドが溶損すると、エンジン出力が低下するとともに、エンジン警告灯が点灯し、最悪の場合、火災に至るおそれがある。
BMWアルピナ D3ビ・ターボなど計5車種、計3型式のリコール届出一覧表
BMWアルピナ D3ビ・ターボなど計5車種、計3型式の改造箇所説明図
BMW MINI Cooper Dなど計9車種、計10型式を対象(17日)
『エンジン(排気ガス再循環装置モジュール)』に不具合があり、ディーゼルエンジンの排気ガス再循環装置(EGR)モジュールにおいて、排気ガス冷却装置の耐久性が不十分であるため、冷却水が漏れるものがある。
そのため、排気ガスに含まれる煤が冷却水と混合して排気ガス再循環装置(EGR)モジュールの内部に堆積し、高温になった堆積物がインテークマニホールドに流入し付着して、インテークマニホールドが溶損すると、エンジン出力が低下するとともに、エンジン警告灯が点灯し、最悪の場合、火災に至るおそれがある。
BMW MINI Cooper Dなど計9車種、計10型式を対象(17日)のリコール届出一覧表
BMW MINI Cooper Dなど計9車種、計10型式を対象(17日)の改造箇所説明図
プジョー 5008、計1車種、計2型式を対象(17日)
『車体(スペアタイヤ・サポート)』に不具合があり、スペアタイヤ・サポートにおいて、取付ナットの締め付け指示が不適切なため、規定トルク通りに締め付けられていないものがある。
そのため、車両振動等により取付ナットがゆるみ、スペアタイヤ・サポートが変形し、最悪の場合、スペアタイヤが脱落して他の交通を妨げるおそれがある。
BMW 1600Bなど計4車種、計1型式を対象(18日)
『動力伝達装置(マニュアルトランスミッション)』に不具合があり、トランスミッションにおいて、シフトスリーブの形状が不適切なため、当該スリーブが摩耗しギアが抜けにくくなることがある。
そのため、その状態で他のギアへ変速を行うと、シフトフォークピンが折損し、最悪の場合、変速機内で二重噛み合いが発生して急激な制動力が発生するおそれがある。
BMW 1600Bなど計4車種、計1型式のリコール届出一覧表
ポルシェ Macan(マカン)、計4車種、計12型式を対象(23日)
『燃料装置(燃料ポンプサービスホールカバー)』に不具合があり、燃料装置において、燃料ポンプサービスホールカバーと燃料ポンプフィルターフランジ間の公差設計が不適切なため、リヤシートに荷重がかかった際に当該カバーが燃料ポンプの吐出パイプに干渉することがある。
そのため、当該パイプに亀裂が生じ燃料が漏れるおそれがある。
ポルシェ Macan(マカン)、計4車種、計12型式のリコール届出一覧表
ポルシェ Macan(マカン)、計4車種、計12型式の改造箇所説明図
2020年3月の改善対策届出情報
タダノ GR-130N-2など、計10車種、計9型式を対象(26日)
『運転室外装(手すり)』に不具合があり、ホイール・クレーン運転室外装の手すりにおいて、手すり取り付け部の強度が不足しているため、亀裂が入ることがある。
そのため、そのままの状態で使用を続けると、亀裂が進行し、破断するおそれがある。
タダノ GR-130N-2など、計10車種、計9型式のリコール届出一覧表
タダノ GR-130N-2など、計10車種、計9型式改造箇所説明図
さいごに
以上が、2020年3月分のリコール届出及び、改善対策届出の状況になります。
いずれの場合では、基本的には車を購入した際に使われる個人情報などを基に、販売店やメーカーからの通知が来ると思いますが、引越し等での住所移転や名義変更をした場合には必ず車検証の「変更・移転登録」を行なう必要があります。
また、こうした通知が届いた際には、事故につながる不具合が含まれることもあるため、できるだけ早期に販売店等で点検・修理等を受けるようにして、安全で快適なカーライフを送れるようにしましょう。
クルマのサブスクはKINTO
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