トランスミッションとは、エンジンの動力を車輪に効率的に伝えるための装置で、簡単に言えば、「エンジンの回転力(トルク)を、走行速度に合わせて変える変速装置」になります。
トランスミッションの役割として、エンジンは、常に一定の回転数で最も効率良く働きますが、車は加速・減速・停止などで速度が大きく変化します。
そのため、エンジンの力を適切なギア比に変えて、スムーズに加速・減速・坂道走行などを可能にします。
そして、現代における国内で普及している車両の約98%がAT車であり、ほとんどの方がAT車に乗っていることになります。
そんな大多数が乗っているAT車では、なんとなくいつもやっているAT操作(シフト操作)がトランスミッションの寿命を縮めている事があります。
今回は、AT車におけるトランスミッションの寿命を縮めるNG行為6選を紹介します。
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AT車におけるトランスミッションの寿命を縮めるNG行為とは?
駐車時に、パーキングブレーキをかける前にPレンジに入れること

「パーキングブレーキをかける前に、Pレンジに入れる」ことは、AT車では基本的にNG行為とされています。
駐車時に、Pレンジに入れてからパーキングブレーキをかける手順を結構やりがちなのではないでしょうか?
AT車の「Pレンジ」に入れると、パーキングポール(ギアロック機構)がトランスミッション内部のギアを機械的に固定し、タイヤが回らないようになります。
先にPレンジに入れて車が完全に止まっていない状態でブレーキを離すと、車の重量(特に坂道では強い力)がパーキングポールに直接かかってしまい、「ギアに過大な力がかかり、傷や変形の原因」、「シフトレバーがガチッと固まり、次回動かしにくくなる」、「長期的にトランスミッション破損のリスク」に繋がります。
正しい駐車時に行うシフト操作の順番は、
1.フットブレーキを踏んだまま停車
2.サイドブレーキ(パーキングブレーキ)を先にかける
3.その後に「Pレンジ」に入れる
4.フットブレーキを離す
となり、この順番なら、車の重さはサイドブレーキに預けられるため、パーキングポールにはほとんど力がかからず安全です。
車の取扱説明書にも、しっかりと記載されている基本操作となります。
完全停止する前にD→R、R→Dなどのシフト操作をすること

こちらも、車を駐車させる際にやってしまいがちな行為のひとつで、切り返しをする際に車が完全停止する前にD→R、またR→Dにシフト操作をしている方も多く見受けられます。
この行為は、AT車にとって非常に危険なNG行為で、これを繰り返すと、トランスミッションの重大な故障につながる可能性があります。
その理由には、AT車のトランスミッションは、内部でクラッチやギアが高速で回転しており、走行中にDとRを切り替えることで、ギアに強烈な衝撃が加わり、内部のクラッチやギアを破損する危険があるからです。
具体的に起こる不具合としては、「トルクコンバーターやクラッチ板の摩耗」、「ギア破損や焼き付き」、「ATF(オートマオイル)の劣化」により、最悪の場合、トランスミッション載せ替えによって数十万円~の修理費がかかってしまうことがあります。
正しい操作方法は、
バックから前進に切り替える時は「必ず車両が完全に停止してからR→Dへシフト」、前進からバックに切り替える時は「同じく、停止後にD→Rへシフト」と、完全に車が停止してからシフト操作をするようにしましょう。
下り坂でNレンジに入れ、惰性走行すること

下り坂でシフトをNレンジに入れて、惰性走行することで「燃費が良くなる」と一部で、まことしやかに噂がされていますが、最近の車は「アクセルOFF+Dレンジ走行中」に燃料カット(エンジン停止or燃料供給ゼロ)する設計になっており、実はDレンジのまま下るほうが燃費も良いのです。
また、一部の車種では、Nレンジでの長時間走行により、トルクコンバーターの異常作動やオイル潤滑不足を招き、機械的にトラブルの原因にも繋がります。
さらに、現行の道路交通法では明確に禁止とはされていないものの、
運転者としての注意義務違反(過失)に問われる可能性があり、事故時には「危険運転」と判断されるケースもあります。
他にも、エンジンブレーキが効かずブレーキだけに頼る状態になり、ブレーキが効かなくなるフェード現象により大事故の原因になったり、アクセルを踏んでも、すぐに加速できないため、とっさの判断で回避操作ができないなどの危険な状態になります。
「下り坂でNレンジ惰性走行」は絶対に避けるべきで、安全性・車の保護・燃費すべての面でメリットがありません。
Nレンジに入れ、信号待ちし続けること

信号待ちで「Nレンジ」に入れ待ち続けることも、一部ではやりがちな操作ですが、実は基本的に不要であり、状況によっては逆効果やリスクもある行為になります。
「D→N→D」と頻繁に切り替えることで、シフト制御部やクラッチ制御に無駄な負荷がかかり、ATに不要な負担となります。
また、信号が青になったとき、「Nのままアクセルを踏む→進まない」、「慌ててDシフトに入れることで、ショック」などが起きやすく、ATのみならず車全体への負担がかかってしまいます。
さらに、発進時にスムーズに動き出す「クリープ現象」が使えず、特に混雑時や坂道でのN→Dのタイミングミスが、後続車との追突や空ぶかしにつながる危険があります。
ATの設計上、Dレンジのままでブレーキを踏むことが前提にできているので、信号待ちでNレンジに入れないようにしましょう。
発進時にクリープ現象だけで登坂・駐車を行うこと
発進時にクリープ現象だけで坂道を登ったり、駐車を行うのはNGです。
このような行為は、車の駆動系(ATミッション、CVT、トルクコンバーター)に大きな負担をかける行為であり、長く続けるとトランスミッションの故障・発熱・燃費悪化につながります。
坂道をアクセルなしで登ろうとすると、トルクコンバーターが滑り続けて高温や摩耗となり、ATに過負荷や発熱の原因になります。
また、坂が急だと、クリープだけでは途中で止まったり後退するリスクにも繋がります。
坂道発進・駐車時には「クリープだけ」ではなく、必ず適度なアクセル操作を併用することで、車にもやさしく、安全でスムーズな操作につながります。
ATF(オートマオイル)を長期間無交換で放置する

ATF(オートマオイル)を長期間無交換で放置することは、非常に危険で、ATミッションの重大故障を引き起こす原因となり、最悪の場合、数十万円の修理費用が発生します。
そもそも、ATF(オートマオイル)は、ATやCVTの内部を潤滑・冷却・伝達する専用オイルで、エンジンオイルと同様に、使えば使うほど劣化し、性能が落ちていきます。
ATF(オートマオイル)を無交換にしていると、ATFが劣化し冷却性能が下がり、内部温度が上がりやすくなります。
潤滑力が失われ、金属摩耗が進行することで、AT内部に金属粉やゴミが溜まり、バルブやソレノイドの動きが悪化します。
また、ギアが「ガクン!」とショックを伴って変速したり、または変速不能になることもあります。
車種により、交換タイミングが異なりますので、ご自身のクルマの取扱説明書に記載されている、交換時期を確認して交換するようにしましょう。
さいごに
以上が、AT車におけるトランスミッションの寿命を縮めるNG行為6選でした。
いつもの癖だったり、なんとなくクルマに良かれと思っていた行為が、実は逆にクルマに負担をかけている行為になっているかもしれません。
さらに、危険な行為にもつながることがありますので、注意が必要です。
また、故障して修理するのに多大な金額がかかるかもしれませんので、日頃から負担がかかることを避けるのと、しっかりとしたメンテナンスが必要になってきます。
ムームードメイン
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